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Tigana Santana『The Invention Of Colour』

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Apres-midi Records - Artists

カルロス・アギーレ/ルイ/シモン・ダルメ/デコーダーズに続くアプレミディ・レコーズ単体アーティスト作品として、“アフロ・ブラジリアンのニック・ドレイク”の異名をとるバイーア出身のシンガー・ソングライター、チガナ・サンタナの知る人ぞ知る名作『The Invention Of Colour』が4/27にリリースされます。聴けば聴くほどに胸に沁みる、美しく内省的な翳りを帯びた歌声と、スピリチュアルな情感に富んだ独特のチューニングを施した5弦ギターのアルペジオ。ニック・ドレイクはもちろん、ジョン・ルシアンやテリー・キャリアー、アグスティン・ペレイラ・ルセーナなどのファンにまで大推薦したい、まさに至宝と言える素晴らしい一枚です。アプレミディ・セレソンでお買い上げの方にはもれなく(通販含む)、橋本徹・選曲のスペシャルCD-R『Ultimate“音楽のある風景”Collection』『Folky-Mellow-Saudade 2014』をプレゼント致しますので、お見逃しなく!
※詳しいCDの内容は、[Toru Hashimoto Blog(4/10)]とライナーノーツをご覧ください!

<ライナーノーツ>

ブラジルの歴史において、アフリカからの奴隷船が最初に到着した場所であり、現在でも人口における黒人の比率がブラジルでもっとも高く、アフロ・ブラジル文化の中心地と言われるブラジル北東部バイーア州の州都サルヴァドール。チガナ・サンタナは、「黒いローマ」とも呼ばれるこのブラジル有数の港湾都市の、海岸にほど近い高台に建つ家で生まれ育ち、一時期は外交官をこころざしたものの、結局は音楽の道を選んだそうです。現在はサンパウロを拠点に活動するチガナですが、当時眺めた大西洋の、時とともに色が変わる海の情景は、自分の作品に深い影響を与えたと語っており、バイーアの風土は彼の作品の根源的な要素と言えるでしょう。そんな彼には、サルヴァドール出身で、海を題材にした曲を多く残し、バイーアにとどまらず20世紀のブラジル音楽を象徴する「バイーア音楽の父」、ドリヴァル・カイミを思わずにはいられません。

2009年に発表されたチガナのデビュー・アルバム『Macale』は、カエターノ・ヴェローゾ(彼もまたバイーア出身)と長く活動をともにしてきたギタリスト、ルイス・ブラジルのプロデュースのもと、サルヴァドールで録音されました。リリースされるやいなや、素朴でデリケイトな歌唱とソングライターとしての類稀な才能が注目を集め、幾種類ものブラジリアン・パーカッションが織りなすポリリズミックなアンサンブルをベースに、ギターやフルートなどで色づけされた、ルイス・ブラジルによる多彩なサウンド・アレンジに対する評価も相まって、ここ日本でも輸入盤専門店を中心に耳の早いブラジル音楽ファンから称賛の声が相次ぎました。
2011年、デビュー作を携えフランス、ベルギー、オランダ、スウェーデンを訪れたヨーロッパ・ツアーが大評判となり、一気にアーティストとしてのキャリアが開かれていきます。間もなくスウェーデンのレーベルajabu!と契約がまとまり、セカンド・アルバムのレコーディングがストックホルムで行われることになりました。それが本作『The Invention Of Colour』です。プロデューサーは、アプレミディ・レコーズにも縁が深いヨハン・クリスター・シュッツのアルバムにも参加しているマルチ打楽器奏者で、現在はサルヴァドールで活動するスウェーデン人、セバスティアン・ノティーニ。彼は本作でほぼ全曲のパーカッションも担当しています。
 チガナの弾き語りはそれだけでひとつの宇宙を創造しています。その歌声は内省的な響きですが、歌詞はカンドンブレを基本としたアフロ・ブラジルの自然観や生命観に根ざしています。カンドンブレとは西アフリカを起源にブラジルで独自の発展を遂げた多神教で、儀式で用いられた太鼓のリズムがサンバのルーツと言われているように、アフロ・ブラジリアンにとっての精神的/文化的アイデンティティーの根源のひとつと言えるでしょう。チガナはキコンゴ(コンゴ語)やキンブンドゥ(主にアンゴラで話される言語)を歌詞に取り上げるなど、アフリカへの意識を強く抱いているがゆえに、彼の歌は自己の内側にとどまらないユニヴァーサルな広がりを感じさせます。

チガナの独特なギター奏法も非常に重要です。最高音のE1弦を外し、本来B2弦を張るところには低音用の巻き弦を張るという他に見ないセッティングを施した5弦ガット・ギターによるアルペジオ奏法は、柔らかでどこか翳りを帯びた中低音の響きが強調され、チガナの訥々とした歌声と相まって心に深く沁み入ってきます(彼の音楽を「アフロ・ブラジリアン・ニック・ドレイク」と評する声が多いのは、このサウンドがニック・ドレイクを彷彿させるからでしょう。彼のギター奏法も曲ごとにチューニングを変えるなど特異なスタイルでした)。
チガナが自身のギターを「Drumguitar」とクレジットしているのも、ブラジルにおけるアフリカ起源の音楽を考えるうえで興味深く思えます。例えばジョアン・ジルベルトが、前述したように黒人奴隷がもたらしたサンバのリズムをゆっくりとエレガントにギターで爪弾いて表現することによりボサノヴァ奏法を生みだしたように、ブラジル音楽において、ギターはメロディーとリズムを分け隔てて演奏するものではなく、旋律を奏でると同時に拍動を刻む楽器として独自の発展を遂げています。チガナの「Drumguitar」を、ブラジリアン・ギターの新たな可能性を示すものと捉え、演奏に静かに宿るグルーヴを感じながら聴くのも面白いのではないでしょうか。

アルバムを聴き進むと、知性と野性が同居するチガナの美しいヴォーカルによる弾き語りと、音数を抑えたセバスティアンのパーカッションのアンサンブルをベースに、弦楽四重奏やピアノ、コラ(西アフリカ発祥の弦楽器)などが非常に効果的に重ねられ、その深い叙情性と幽玄の響きには、時に目眩すら覚えるようです。
ゲスト・シンガーに目を向けると、「Black Woman」で歌うアーネ・ブルンはノルウェイ生まれで現在はスウェーデンで活動する女性シンガー・ソングライター。「La Leyenda De Los Eslabones」のマイラ・アンドラーデは、ブラジルと同じくポルトガルが旧宗主国だったアフリカ西沖合いにある島国カーボ・ヴェルデを代表する歌手。カーボ・ヴェルデはアンゴラなどと同じく、ポルトガル語を公用語とするアフリカ国家であり、そういったつながりを知ると、本作でのゲスト参加の意味合いも見えてきます。「Lusuki」のラッゾ・マツンビはチガナと同郷のバイーア州サルヴァドール出身の黒人歌手。ここでは前述のキコンゴ(コンゴ語)で歌っていることから、チガナとは音楽だけでなく精神面でも盟友関係にあると思われます。

ストックホルムで録音されたためバックを固めるミュージシャン陣も前作から一新され、ブラジル人のみだったゲスト・シンガーも本作ではこのように多彩な顔ぶれであることからも、チガナの描く内的な宇宙が、よりインターナショナルな深まりを見せていることがわかります。
本稿執筆中に届いた情報によると、彼はすでに3作目のアルバムのレコーディングをほぼ終えており、新作は2枚組になる予定で、1枚はサルヴァドール、もう1枚はセネガルで録音されたとのこと。何とも期待が高まりますが、まずはこのアルバムを聴き込み、その世界にじっくりと浸りつつ続報を待ちたいと思います。

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アプレミディ・レコーズから2012年8月にリリースされたシモン・ダルメの『The Songs Remain』は、ジョニ・ミッチェルの『Blue』やニック・ドレイクの『Bryter Layter』などに通じる、内省的な音世界を青色で表現したジャケットも印象的なシンガー・ソングライター作品の系譜にある素晴らしいアルバムでした。
翻って本作『The Invention Of Colour』は、アイヴォリーがかった白を引いた下地にタイポグラフィーだけのシンプルなモノトーンのアートワーク。しかしCDを取り出そうとジャケットを開くと、中面にはプリミティヴな配色の鮮やかな絵が現れます。モノトーンとは、内省的な響きと静寂のエレガンスを纏ったチガナの音楽そのものであり、極彩色はそのルーツとなるアフロ・ブラジルやアフリカの精神性や文化を象徴しています。つまりモノトーンと極彩色という相反する両者が同居することで、このチガナ・サンタナという類稀な才能を持つアーティストの独特な音楽性が端的に表現された、見事なアートワークです。

最後に、この作品がアプレミディ・レコーズからリリースされるに至った物語を書き添えて、本稿を終わりたいと思います。
ヨーロッパでは2013年6月にリリースされ、各国の音楽メディアからは絶賛をもって迎え入れられた本作。僕はリリース元のレーベルajabu!とその前から付き合いがあり、実はリリース前後の時点で日本盤化に向けて下交渉のようなやりとりもしていました。しかし、いくら素晴らしい音楽とはいえ、このような一聴して地味な印象を受けかねない作品に対して大きなセールスを期待するわけにもいかず、僕としても積極的にいい条件を提示できないまま、交渉はいつしか途絶えていました。
しかし2014年初頭、橋本徹さんから1枚のファックスが届きました。そこには、「チガナ・サンタナの『The Invention Of Colour』という素晴らしいアルバムがあります。ぜひアプレミディ・レコーズからリリースしたいので、レーベルにコンタクトをとり、日本盤化の交渉をお願いできますか?」と書かれていたのです。
僕はすぐにこの作品についての経緯を説明するために橋本さんに電話をしました。そこで橋本さんのこのアルバムへの熱い想いに触れ、この素晴らしい作品をめぐるささやかな偶然を大切にしたいという気持ちに駆られた僕は、レーベルにコンタクトをとり交渉を再開しました。そしてほぼ1年近い時を経てここに、日本盤としてアプレミディ・レコーズから正式にリリースできることは大きな喜びです。願わくば、この小さな偶然が、これから始まる大きな物語の序章たらんことを。

稲葉昌太(ディレクター:インパートメント/アプレミディ・レコーズ)
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