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V.A.『Free Soul Flying Dutchman』
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シリーズ通算120作以上を数え累計セールス120万枚以上を誇る人気コンピ“Free Soul”25周年記念リリースの最新作となる、“ラヴ&ピース”をテーマに選曲された『Free Soul Flying Dutchman』が12/1に先行入荷します。ギル・スコット・ヘロン/レオン・トーマス/ロニー・リストン・スミスなどのジャズ・ファンク名門レーベルのベスト・アンソロジーで、ピースフルなグルーヴとブリージンなメロウネス、ビターなリリシズムとポジティヴなスピリチュアリティーを宿した傑作が、スペシャル・プライスで2枚組39曲160分以上にわたって連なる決定版。アプレミディ・セレソンでお買い上げの方にはもれなく(通販含む)、橋本徹・選曲のスペシャルCD-R『Best Of Suburbia Radio Vol.21』をプレゼント致しますので、お見逃しなく!
『Free Soul Flying Dutchman』ライナー(橋本徹)
2019年に25周年を迎え、シリーズ通算120作以上を数えるFree Soulコンピレイションに新たに加わる一枚は、Impulse! Recordsのディレクターとしてジョン・コルトレーンやチャールズ・ミンガス、ソニー・ロリンズなどの名盤を残した音楽プロデューサー、ボブ・シールによって1969年に設立されたジャズ系のインディペンデント・レーベルFlying Dutchman Recordsのベスト・アンソロジーとなる『Free Soul Flying Dutchman』。1976年までの録音からグルーヴィー&メロウな感性でとっておきの名作を選りすぐった、2枚組・全39曲・160分をこえる決定版セレクションだ。ジャケットはサッカー好きなら胸を躍らせずにいられないだろう、フライング・ダッチマン~トータル・フットボールという連想ゲームからヨハン・クライフの勇姿をモティーフにしている。
コンピ制作のオファーをいただいたときから1曲目はこれと決めていたのが、ギル・スコット・ヘロンの「I Think I'll Call It Morning」。彼の訃報を知ったのは東日本大震災から2か月あまり経った頃、しばらくは音楽を聴くような気持ちになれなかった僕がその朝ふと口ずさんだのがこの曲だった。“陽光の中、鳥の歌を聴き、自由について思う。雨よ、降らないで。今の俺の気持ち”――そんな歌詞にも深く感銘を受けるポジティヴな歌。ピースフルで柔らかなグルーヴにも救われる思いがした。黒いボブ・ディラン(そして“ゴッドファーザー・オブ・ヒップホップ・ラップ”)とも言われる吟遊詩人ギル・スコット・ヘロンの音楽は、何よりそのカッコよさに惹かれて大学生のとき好きになったが、歳を重ねた自分にとっていつの間にか最も沁みる歌声になっていることに気づいた。それはタフで優しい、あのレイモンド・チャンドラーがフィリップ・マーロウに語らせた台詞のような音楽。
「I Think I'll Call It Morning」が収められたギル・スコット・ヘロンの1971年のセカンド・アルバム『Pieces Of A Man』から7曲も選ばれていることも、このコンピの大きな特徴だろう。示唆に富んだ真摯なメッセージと滋味深いヴォーカルのビターなリリシズム、そしてバーナード・パーディーのドラムスとロン・カーターのベースを中心としたリズム隊が生みだす、この心地よいグルーヴへの偏愛こそがFree Soul、と言うことができるかもしれない。とりわけ「The Needle's Eye」と「When You Are Who You Are」は、僕らのDJパーティー「Free Soul Underground」で繰り返しプレイした。
ギル・スコット・ヘロンの諸作と並んでやはり「Free Soul Underground」でヘヴィー・ローテイションだったのは、レオン・トーマスの「Love Each Other」。“Tighten Up”的なグルーヴ感とコード進行にフラワー・ムーヴメントの残り香も感じられて、まさにFree Soulど真ん中と言っていいだろう。レオン・トーマスがファラオ・サンダースと共作したスピリチュアルな「The Creator Has A Master Plan (Peace)」も、大学生になってジャズを聴くようになった最初の頃から個人的に特別な曲で思い入れ深く、Disc-1のラストとDisc-2のオープニングにそれぞれレオン・トーマスとルイ・アームストロングのヴァージョンを置いた。
そもそもFlying Dutchmanが、僕にとってクラブ・ミュージック的な感覚に最初に触れた(そして瞬く間に感化された)大学生の頃、1980年代後半にレア・グルーヴやダンス・ジャズのムーヴメントに呼応するように、中古盤店で安く買い揃えていったレーベルであることを思い起こさせてくれるのがロニー・リストン・スミス。問答無用のジャズ・ファンク・クラシック「Expansions」は、当時の僕にはまさしく金字塔のように輝いて見えた。彼のアルバムがライブラリーに増えていくにつれ、そこがブリージンなメロウ・ヴァイブスの宝庫であることも知り、以来30年にわたって僕の選曲でこれほど重宝しているアーティストはいないのではないかと思うほどだ。今回のコンピにも計6曲をエントリーしている。エレクトリック・ピアノの揺れるような音色の虜になったきっかけは彼だったし、ジャズの正史(と日本で言われているもの)とは違った価値観・音楽観の素晴らしさを教えてくれたその功績は計り知れない。
ジャズの本流とは一線を画しながらも、DJ~クラブ的な観点では重要なレーベルというイメージが培われていたからか、ジャズ・ファンク・リヴァイヴァル華やかなりし90年代初頭には、Flying Dutchmanのレコードは中古盤屋で目に入れば必ず試聴・購入するという感じになり、コレクションには加速度的に拍車がかかっていった。テオ・マセロがアレンジを手がけリンダ・ティレリーが歌うラテン・グルーヴCesar 830を始め、エスター・マーロウやバーナード・パーティー、ハロルド・アレクサンダーやレーベルの首領ボブ・シールなどは、その頃に買った思い出のレコードだ。
最後にもうひとつ思い出のレコードの話を。それはジョン・レノンが名づけ親であることでも知られるソフト・ロック・グループ、サークルの幻の一枚と言われたソフト・ポルノ・サントラ『The Minx』。映画のサントラ盤のコレクターでもあった20代の頃、Flying Dutchman傘下のAmsterdamからのリリースとは知らず僕はこのレコードを探していたが、なかなか出会うことができずにいた。ところがある日、懇意にしていた関西の友人が突然オリジナル盤をプレゼントしてくれたのだった。とりわけ当時の自分の好みに適っていた瀟洒なスキャット・ボサ調のタイトル曲には感激した。その後この曲がサンプリングされたKaraoke Kalkレーベルのパスカル・シェファーによる「Drrrunk」を聴いたときにも感激を新たにし、『Chill-Out Mellow Beats~Harmonie du soir』というコンピレイションに収録させてもらったほど。今回は近年DJ/トラックメイカーに人気が高まっているヒップなサイケデリック・ブレイク「Nicole」と併せてどうぞ。
Disc-1
01. I Think I'll Call It Morning / Gil Scott-Heron
02. Love Each Other / Leon Thomas
03. The Needle's Eye / Gil Scott-Heron
04. Soulful Strut / Steve Allen
05. Bridges / Cesar 830
06. When You Are Who You Are / Gil Scott-Heron
07. Expansions / Lonnie Liston Smith And The Cosmic Echoes
08. Heavy Soul Slinger / Bernard Purdie
09. This Is The Me Me (Not The You You) / Richard "Groove" Holmes
10. Money Honey / Esther Marrow
11. Where Did The People Go? / Steve Allen
12. Everybody's Talkin' (Echoes) / Louis Armstrong
13. Just In Time To See The Sun / Leon Thomas
14. Footprints / Lonnie Liston Smith And The Cosmic Echoes
15. Home Is Where The Hatred Is / Gil Scott-Heron
16. Chains Of Love / Esther Marrow
17. Save The Children / Gil Scott-Heron
18. Sunbeams / Lonnie Liston Smith And The Cosmic Echoes
19. The Minx / The Cyrkle
20. El Arriero / Gato Barbieri
21. The Creator Has A Master Plan (Peace) / Leon Thomas
Disc-2
01. The Creator Has A Master Plan (Peace) / Louis Armstrong
02. Astral Traveling / Lonnie Liston Smith And The Cosmic Echoes
03. From This Moment On / Shelly Manne
04. The Revolution Will Not Be Televised / Gil Scott-Heron
05. Rejuvenation / Lonnie Liston Smith And The Cosmic Echoes
06. He Don't Appreciate It / Esther Marrow
07. Lady Day And John Coltrane / Gil Scott-Heron
08. Mama Soul / Harold Alexander
09. Gypsy Queen / Count Basie And His Orchestra
10. It Don't Mean A Thing If It Ain't Got That Swing / Duke Ellington And Teresa Brewer
11. Tite Rope / Harold Alexander
12. Head Start / Bob Thiele Emergency
13. See Saw Affair / Cesar 830
14. Nicole / The Cyrkle
15. It's My Life I'm Fighting For / Leon Thomas
16. Never Can Say Goodbye / Pretty Purdie And The Playboys
17. Song For My Father / Leon Thomas
18. A Chance For Peace / Lonnie Liston Smith And The Cosmic Echoes