待望のアプレミディ・レコーズからのニュー・リリースとなる新コンピ・シリーズ『ブルー・モノローグ Daylight At Midnight』がいよいよ4/27に入荷します。ニック・ドレイク〜ビル・エヴァンス〜ジェイムス・ブレイクを聖三角形に、目頭が熱くなるフォーク・ブルースから魂を揺さぶられるピアノ・ダブまで、切なくも安らかな陰影を刻む、いつか見た夢のようにリアルな21世紀の音宇宙。ニック・ドレイク「Northern Sky」/キングス・オブ・コンヴィニエンス「Homesick」/ファイヴ・ステアステップス〜ニーナ・シモン「Ooh Child」の素晴らしいカヴァーも含む、“すべてのジムノペディストに捧ぐ”79分59秒。アプレミディ・セレソンでお買い上げの方にはもれなく(通販含む)、橋本徹・選曲のスペシャルCD-R『アナザー・ブルー・モノローグ』『Toru II Toru〜Spring 2012』の2枚をプレゼント致しますので
(※特典CD-Rの配布は終了致しました)、お見逃しなく!
すべてのジムノペディストに捧ぐ。
心の調律師のような音楽。「フリー・ソウル」「カフェ・アプレミディ」「音楽のある風景」「メロウ・ビーツ」「ジャズ・シュプリーム」など多くの人気コンピを手がけてきた橋本徹(SUBURBIA)監修レーベル「アプレミディ・レコーズ」より、深い内省を秘めたブルーな音楽が胸を打つ「ブルー・モノローグ」シリーズが登場!
ニック・ドレイクとロバート・ワイアット、ビル・エヴァンスとキース・ジャレット、ジェイムス・ブレイクとホセ・ゴンザレスとアントニー&ザ・ジョンソンズ、マイルス・デイヴィス『Kind Of Blue』とジョニ・ミッチェル『Blue』……そんな遺伝子を継いだ21世紀の名作たち。
目頭が熱くなるフォーク・ブルースから、魂を揺さぶられるピアノ・ダブまで、切なくも安らかな陰影を刻み、狂おしいほどに夢幻の美しさを追想する“自己との対話”。届けられない祈りと忘れえぬ面影、心の殻を柔らかく溶かす“Daylight At Midnight”が暗闇の先に希望の光を照らす、ポスト3.11のサウンドトラック=救済の歌。
●橋本徹『『ブルー・モノローグ Daylight At Midnight』』ライナー
ジョアン・ジルベルト、ベン・ワット、ニック・ドレイク……独白のような音楽が昔から好きだった。いつか見た夢のように、いつも心のどこかに残っている。
ギターを抱えた、フォーキーで繊細な弾き語りを聴かせてくれる歌手たちだけでない。例えば、2010年の末に出会ったテイラー・アイグスティの『Daylight At Midnight』というアルバム。若く才能あるジャズ・ピアニストが、ニック・ドレイクやエリオット・スミス、ルーファス・ウェインライトなどをカヴァーしていた。かつてビル・エヴァンスが「自己との対話」(『Conversations With Myself』)と名づけた内省的な空気の震えが感じられた。深夜、静かに耳を傾けていると、そこには時代を包むブルーな憂愁が漂っているように思えた。音楽にとって「ブルー」は特別な色だ。
僕はブルーな独白のような音楽に惹かれる。哀切と寂寞、孤独の影。現実と夢想のせめぎあいが生む、言い知れぬ憂い。悪魔は悪の化身ではなく、周囲に理解されない孤独な魂の持ち主だとするロマン派の「メランコリー」、そしてデューラーの「メランコリア」からゴヤに至るまでの系譜が、深い思索のような音楽に重なってくる。
苦い諦念や失望、葛藤と無常感があらかじめ設定された空気のように存在する21世紀の音楽だから、音を奏でることに、避けがたく、何がしかの「災厄」が影を落としているが、決して救いのなさ、やりきれなさだけではない。暗闇の先には、まるで夢のわずかな残像のように甘い、かすかな光も見える。時間をかけて音楽がじっくりと心の奥深くに沁みわたってくると、その光はゆっくりと確実に見えてくる。音楽を聴くことは「体感」だと実感させられる。優れた文学の多くが、言葉の音楽性が豊かであるように、ブルーな独白のような音楽は、言語性の豊かなイマージュをはらんでいる。
ドワイト・トリブルが歌う「Ooh Child」の歌詞を最後に引用しよう。
Ooh child, things are gonna get easier 少しずつ良くなるさ
Ooh child, things'll get brighter いつかもっと明るくなるよ(If you tired of the crying, come on 泣くことに疲れたら、こっちにおいで)
2012年3月 橋本徹(SUBURBIA)
→Toru Hashimoto Blog
01. Undying Eyes / Mantler
02. Piano Song / Scott Matthews
03. To Build A Home / The Cinematic Orchestra
04. Night Noises / Bonnie ‘Prince’ Billy
05. The Crows And The Rocks / Oddfellow’s Casino
06. Kevadaimus 1951 / Mari Kalkun
07. Fears / Jono McCleery
08. Lost Dub / New Zion Trio
09. Evolution Of Waters / Valgeir Sigurdsson feat. Bonnie ‘Prince’ Billy
10. Daegu Nights / Andrew Morgan
11. Northern Sky / Pigs On Corn
12. Way Go, Lily / Sam Amidon
13. Two Trains / Gareth Dickson
14. Oysters / Meshell Ndegeocello
15. Perfect / Eisa Davis
16. Ooh Child / Dwight Trible
17. Amazing Backgrounds / Eric Chenaux
18. Homesick / Maximilian Hecker