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Salami Rose Joe Louis『Zlaty Sauce Nephew』

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Apres-midi Records - Artists

アプレミディ・レコーズの単体アーティスト作品第11弾として、「未来を空想した古い童話のような音楽」と絶賛される夢見心地のハイブリッド・ポップスを奏でる、サラミ・ローズ・ジョー・ルイスの『Zlaty Sauce Nephew』が5/14にリリースされます。橋本徹(SUBURBIA)も「ヒップホップ・エイジに降り立った、未来から来たブロッサム・ディアリー」と最大級の讃辞を寄せる、シンガー・ソングライター/サウンド・クリエイターとして唯一無二のきらめきと存在感を放つLAの才女による、ダウンロード&カセットのみで4/18に発表されたばかりの最新アルバムで、まさに音楽ファン待望の歓喜の世界初CD化(しかも初回盤は彼女自身が推薦する未発表2曲を独占収録したボーナス・ディスク付き)。揺らめくアナログ・シンセにオールド・ジャズの気品を漂わせるシュガー・ヴォイス、陶然とさせる深い音響にリズム・ボックスとグルーヴィーなベースが印象的な、現在・過去・未来あらゆる時代の音が交錯する掛け値なしに2017年の年間ベスト候補。アプレミディ・セレソンでお買い上げの方にはもれなく(通販含む)、橋本徹・選曲のスペシャルCD-R『2017 Best Selection Vol.1&2』(2枚組)をプレゼント致しますので、お見逃しなく!


Salami Rose Joe Louis『Zlaty Sauce Nephew』ライナー(国分純平)

2016年の年末、橋本徹(SUBURBIA)さん主催のちょっとしたイヴェントがあった。参加者それぞれが2016年のお気に入りの曲をかけていくというもので、僕も厳選に厳選を重ねた20曲ほどを持って、会場を訪れた。チャンス・ザ・ラッパーやボン・イヴェール、フランク・オーシャンといった、きっと多くのメディアの年間ベストに選ばれるであろうところはあえて外し、キューバ人ピアニストのハロルド・ロペス・ヌッサ「Feria」や、サウンドクラウドで出会った日本人の山田晶造「来世で逢いましょう」、LAのマルチ奏者インガによるマッドヴィレインのカヴァーなど、その年に繰り返し愛聴してきた曲を選んでいった。どれも愛着がある曲ばかりだったのだけれど、そのなかでも、まず外せないなと最初に枠を確保していたのが、サラミ・ローズ・ジョー・ルイスのデビュー・アルバム『son of a sauce!』だった。

柔らかなシュガー・ヴォイスに、オールド・ジャズの気品を湛えた節回し。ベースは常にグルーヴィーで、ゆらゆらと揺れる幻想的なシンセの音色には彼女のマニアックな趣向が垣間見えた。ファンタジックで可愛らしい。けれど偏執的なこだわりに満ちている。『son of a sauce!』は文句なしに2016年のベスト・アルバムだった。もっとも、収録されている26曲はどの曲も好きすぎて、1曲に絞るのにだいぶ時間がかかってしまったのだけれど(結局「crawwee」にした)。

いまお手元にある『Zlaty Sauce Nephew』は、その『son of a sauce!』に続く、サラミ・ローズ・ジョー・ルイス、2作目のフル・アルバムだ。どちらも米国でのリリースはHot Record Societe(通称HRS)。ラテン系ジャズ鍵盤奏者のハビ・サンチアゴ、ニューヨークのジェシ・フィッシャーを中心としたジャズ/R&Bバンドのラット・ハビタット、東京のビートメイカー=Arμ-2など、ジャズ/エレクトロニカ/R&Bの交差点にあるような作品を多くリリースしてきたレーベルだ。サラミの作品は配信とカセットテープ(50本限定の超レア盤)でリリースされてきたが、CDでのリリースはこの『Zlaty Sauce Nephew』の日本盤のみ。快挙と言っていいと思う。

まず、ジャケットがいい。『son of a sauce!』同様、宇宙と本人(本作もたぶん幼いサラミだろう)の写真がコラージュされたデザインは、サラミの映像や写真などヴィジュアル面を手がけるカリフォルニアの映像作家/写真家、サラ・シムカ・ジャフィ(Sarah Simka Jaffe)によるもの。彼女のオフィシャル・サイト(https://www.sarahsimkajaffe.com/)に掲載されているコラージュ・アートの作品群を見ると、サラミが彼女にアートワークを任せている理由も自ずとわかってくるようだが、実はサラミが宇宙をモチーフのひとつとしているのには、割とはっきりとした理由がある。そのあたりも含め、経歴を見ていこう。

サラミ・ローズ・ジョー・ルイスは、米カリフォルニア州サンディエゴ出身の女性シンガー・ソングライター、リンゼイ・オルセン(Lindsay Olsen)によるソロ・プロジェクト。幼いころからエロール・ガーナーやアート・テイタムといったジャズ・ピアニストを愛聴し、その一方でバーニング・スピアやボブ・マーリーなどのレゲエにも同じように親しんで育ったという(YouTubeに上がっている自宅で撮られたと思しき前作収録曲「The Hukie Wookie」の映像には『Catch A Fire』のジャケが飾られている)。その後はキャプテン・ビーフハートやステレオラブに深く心酔したらしい。

サンディエゴのラ・ホーヤ・ハイスクールに入ると、友人たち3人とノーウェア・メン(Nowhere Men)というバンドを結成する。残念ながらそのバンドの音源は見つけられなかったのだが、当時の彼女たちの演奏を聴いた地元のラジオDJやライターがその様子を記事にしている。それらの記事で彼らは「ビリー・ホリデイやマレーネ・ディートリッヒのような少数の人だけが持つオールド・ソウルがある」だの、「エディット・ピアフとジョアンナ・ニューサムの間を行き来するよう」だのと、サラミの歌を絶賛。どちらもこの新作にも当てはまりそうな表現だが、つまりその時点で彼女はすでにいまのヴォーカル・スタイルを確立していたと言えるだろう。ちなみに、ノーウェア・メンのマイスペースのページはまだ存在するので、気になる方はチェックしてみてほしい(https://myspace.com/nowherementheband)。若きサラミの写真を見ることができる(あまり変わらないけれど)。

その後、サラミはサンタ・クルーズにあるカリフォルニア大学に進学。ここで宇宙科学を専攻している。先述したジャケットについてはもちろん、「Mobius strip」「Spaaace jam」「Lost in orbit」「Lil idea: sun and the moon」など、曲名も宇宙に関連するものが多いし、それは前作も同様。サラミにとって、宇宙は音楽創作における大きなモチーフになっているわけだが、彼女は大学で専門的に学んでいたのだ。もちろん、彼女がディープなレゲエ・リスナーであることや、楽曲に息衝くファンクの要素を考えると、アフロ・フューチャリズム的な宇宙観からのアイディアもありそうだし、デザインやサウンドから窺えるフェミニンでノスタルジックな趣向を考えると、もっと単純な、幼少期のころから夢見ていたような空想的な宇宙観が表れているようにも見える。そのあたりのバランスは、彼女の魅力のひとつだと思う。

一方で、大学在学中はピアノを演奏することに人生で最も没頭した時期でもあったという。卒業後は曲も書き始め、リンゼイ・オルセンの名前でいくつかのグループに参加。本格的に音楽活動を始めている。サンタ・クルーズを拠点にしているネオ・ソウル系のバンド、ジューマンジ(Joomanji)はそのひとつ。サイトによってはサラミを正式メンバーと紹介しているところもあるが、現在はファミリー/準メンバー的な関係にあるようだ。2013年のアルバム『Manj』ではヴォーカルや作曲を担当。作曲者としてクレジットされている「Spread Too Thin」は、ダビーな音響処理とメロウなジャズ・フィーリングが美しいネオ・ソウル・ナンバーで、その高い作曲力に驚かされる。ジューマンジとの関係はその後も継続していて、メンバーのジョナ・クリスチャンが2014年に出したエレクトロニックなコラボ作、アナ・トール×ジョナ・クリスチャン(Ana-Tole x Jonah Christian)『Heartspank』や、2016年にHRSからリリースされたやはりメンバーのロバート・フィヌケインによる別名義のコラボ・ラップ作品、キング!×ロビーノ・ベルトルッチ(KinG! x Robeeno Bertolucci)『Alter Ego』にも参加している。

もうひとつ、ジューマンジと並んで関係が深いのがブースティヴ(Boostive)という、やはりサンタ・クルーズのバンドだ。正式なメンバーではないものの、時間を見つけてギグに顔を出していたそうで、リンゼイ・サラミの名義で2014年の『Feed The People』に参加、サラミ・ローズ名義で2016年の『room for living』でもヴォーカルをとっている。レゲエをベースに、R&B、ヒップホップなどを織り交ぜたミクスチャー・バンドで、ジューマンジやこのブースティヴ、あるいは2014年の『Tempting Charybdis』に全面的に参加しているサイレン・ソルスティス(Siren Solstice)といったヒップホップ的なプロダクションを取り入れたバンドでの経験が彼女にもたらしたものは大きいはずだ。日本でも名前の知られたケロ・ワン(Kero 1)の『Reflection Eternal』(2015年)、ソウレクションに所属する日本人ビートメイカーのsTAROの『Monday』(2016年)、NYのビートメイカー=アストラル・バード(Astral Bird)『Do you want to go home?』(2016年)、サラミがサッチモの声まねを聴かせてくれるラッパーのS3lfによる「Meloday」(2016年)など、ヒップホップ/ビート・ミュージック界隈への参加はいまも多い。

そしてようやく、デビュー・アルバム『son of a sauce!』や本作『Zlaty Sauce Nephew』が生み出されるわけだが、ジャズを愛し、レゲエやロックに心酔し、そしてネオ・ソウルやヒップホップを通過してきた彼女が奏でる音楽が、それらのどれをも直截的に感じさせるものではないという点は特筆すべきだと思う。歌声はブロッサム・ディアリーやビリー・ホリデイなどが引き合いに出されるし、個人的にはクレア&ザ・リーズンズのデビュー作の宅録版なんて感想も頭をよぎったりした。けれど、彼女の音楽はどんなアーティストを出しても語るには不十分だし、これまで彼女がかかわってきたどのグループの音楽とも大きく違う。

それは、彼女が作るものが、極めて個人的で、空想的なものだからだろう。YouTubeの自宅でのライヴ映像を見るとよくわかるのだけれど、ローランドのサンプラー、MV8800を用いて楽器や声をひとつひとつ丁寧に重ねていくさまは、まるで少女がおもちゃで遊んでいるかのよう。お気に入りの音色を探し、好きな順番で並べて、自分だけの世界を創っていく。古いテープを再生しているかのような鍵盤の音色に揺られながら、2分前後で連続性を以て場面が切り替わっていく楽曲の並びは、まるで彼女が頭のなかで描く白昼夢を覗いているような気分になる。

ただし、そのファンタジーの世界は、近寄ってみると驚くほど精巧に創られている。バンドキャンプで自身の作品のタグに「ファンク」というタグを必ず付けているように、「Cyanotype of blue」に象徴的なグルーヴィーなベース・ラインは極めてファンキーだし、ウォーキング・ベースが印象的な「Very bizarre waffles」を始め、ノスタルジーを喚起させるローファイな音質や夢幻的なシンセの音色の向こうには、骨格のしっかりとしたジャジーな楽曲がある。「17,4220,200」ではスクリュー・ミックスされた声が聞こえてくるし、「Centriflugel」で聴けるゲストのダウード(Daoud)によるビートはLAのビート・ミュージックとの関連性を想起させる。

そして何と言っても、サラミの歌声の素晴らしさ。少女のようであり、ヴェテラン歌手のようでもあり。オールド・ジャズの記憶を宿しながら、現代的なサウンドにも自然と馴染む。リンゼイ・オルセン名義で参加したインヴァーシズ(Inverses)というプロジェクトの『A Soundtrack』という作品では、ピアノ弾き語りの、より生身に近い彼女の歌声が堪能できるので、ぜひお聴きになってみていただきたい。

サラミ・ローズ・ジョー・ルイスの音楽は、多岐にわたる音楽的背景と専門的な宇宙の知識、ピュアな創作意欲と驚くべき才能、そしてそれを覆う溢れんばかりのイマジネーションでできている。昨年のデビュー作(本作に続いて日本でのCD化が決定したそうだ)がそうであったように、僕はこのアルバムをすでに何度も何度も繰り返し聴いている。しかし、今年の年末に行われるイヴェントに、僕はどの曲を選んで持っていけばいいのだろう。候補はボーナス・トラック2曲を入れて34曲。嬉しい悩みができてしまった。
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