商品コード: 00003741

V.A.『Music City Lovers』

通常価格(税込): 2,530
販売価格(税込): 2,530
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USENの音楽放送チャンネルの中でも指折りの人気を誇る「usen for Cafe Apre-midi」の15周年を祝うアニヴァーサリー・コンピ『Music City Lovers〜Soundtracks For Comfortable Life』が7/10にリリースされます。「街の音楽を美しくしたい」という希いをこめ、季節の移ろいや一日の時間の流れに合わせたオール・ジャンル・ミックスによる心地よい選曲を届けてきた17人の選曲家が、それぞれの思いが詰まった「この1曲」をセレクト、さらに全員の推薦による厳選された1曲を加え、計18曲もの現在進行形カフェ・アプレミディ・クラシックを贅沢に収録。キャロル・キングやシャーデーの珠玉のカヴァーから絶品のオリジナル曲まで、タイムリーにしてタイムレスな輝きを放つ永遠の名作が80分にわたって連なる、音楽を愛するすべての人へ心をこめて贈りたい素敵なコンピレイションです。アプレミディ・セレソンでお買い上げの方にはもれなく(通販含む)、橋本徹・選曲のスペシャルCD-R『Another Selection of Music City Lovers』(2枚組)をプレゼント致しますので、お見逃しなく!


『Music City Lovers〜Soundtracks For Comfortable Life』ライナー


選曲・文/橋本徹 - Kamasi Washington “The Rhythm Changes”

街に愛される音楽。
「街の音楽を美しくしたい」という希いを胸に、17人の音楽好きが親密な思いをこめ手作りで選曲している「usen for Cafe Apres-midi」。その15周年を祝う『Music City Lovers』と名づけられたこのアニヴァーサリー・コンピでは、選曲家それぞれが「この1曲」をセレクトしているが、プロデューサーである僕自身は、ジャケットとタイトルを決めた瞬間、絶対にこの曲を入れなければと強く思った。昨年カフェ・アプレミディでのDJパーティーで、最も多くのセレクターがかけた曲であり、最も多くの回数かけられた曲でもある、カマシ・ワシントンの「The Rhythm Changes」。ライセンス・フィーが通常より高いのはわかっていたが、これ以外には、経験上より収録への道のりが困難なことが予想されるドニー・トランペット&ザ・ソーシャル・エクスペリメント「Sunday Candy」しか考えられない、と半ば強引な理由をつけて、レコード会社に納得してもらった。フライング・ロータスが主宰するレーベル、ブレインフィーダーから登場したジャズの新しい巨星であり、ファラオ・サンダースを彷彿させるスピリチュアリティーとマイゼル・ブラザーズを思わせるメロウネスが同居する、胸を疼かされる大名作。メロウ&グルーヴィーで心地よく甘美なオール・ジャンル・ミックスによるアーバン・ミュージック・チャンネルを標榜する「usen for Cafe Apres-midi」の現在進行形の姿を映しだす、今回のコンピレイションの象徴的楽曲だと思う。
10周年のときにも、「usen for Cafe Apres-midi」のそれまでの定番を集めた、『Haven’t We Met?』と題した記念コンピを編んだが、ここでは、日々アップデイトされ、進化し続けるセレクションの現在地を刻印することを主眼にした。ジャズ、ボサノヴァ、メロウ・グルーヴ、フォーキー・ソウル、ソフト・ロック、シンガー・ソングライター、AOR、ラヴァーズ・ロックから、アーバン・メロウなクラブ・ミュージックやチルアウト/アンビエント、クラシック~映画音楽まで、ジャンルは何でも構わない。心を動かされた音楽を、愛と情熱をこめて選曲する毎日から生まれた、言わば“新しいクラシック”の記録。カフェを始めとする飲食店や趣味性の近いセレクトショップのみならず、パブリックなスペースや大型の商業施設でも聴かれるケースが格段に増えたことを反映して、インドア的な色彩から解き放たれ、街や時代の空気に寄り添い、しなやかにリードするような。
それは、季節の移ろいや一日の時の流れを彩り、遠い記憶や大切な思い出を呼び起こしてくれる音楽であると同時に、今を生きる、何気ない日常に未来へのささやかな光を灯してくれる音楽。僕らの「街のBGMの基準値を上げる」試みはまだまだ続いていく。「usen for Cafe Apres-midi」は“生きているハンドメイド・チャンネル”なのだから。

追記:以上のようなことを踏まえつつ、ケニー・ランキン「Haven’t We Met?」と並ぶチャンネルのテーマ的存在だろうキャロル・キングの名曲「You’ve Got A Friend」のジェシ・フィッシャー&グレッチェン・パーラトによる好カヴァーも、全員推薦という名のもとに収録させてもらった。


選曲・文/本多義明 - Rhye “3 Days”

「usen for Cafe Apres-midi」が15周年を迎えた。このデジタル社会の真っ只中で、現在も選曲家一人一人が、時代にフィットする共鳴感覚を呼びそうな音楽を選び、自分の手でこつこつ曲順や展開を組んで長年お送りしてきた音楽メディアは、手前味噌だが世界中探してもこのチャンネルだけではないだろうか。インターネットやラジオ、世界中のBGM会社にも、こんなチャンネルはおそらくないだろう。
15年間ディレクターとしてこのチャンネルに携わってきた自分にとってまず思うのは、やはり愛聴してくれているリスナーや、これまで毎回クオリティーを下げることなく丁寧な選曲を続けてくれる、日本各地で活動している選曲家の皆さんに対する感謝の気持ち。やはり素直にそう思うので、ここで改めて書かせていただこう。いつも刺激をくれる音楽や、音楽好きの大先輩たちや仲間に出会えて、ほんとうに良かったと……。
Rhyeの音楽体験も特別で、2015年リキッドルームでのライヴは、いまだに強く胸に焼きついていて、その感動はどこか選曲のモティヴェイションにも繋がっている。彼らの曲は、2016年の現在もこのチャンネルのマイルストーンのひとつになっていると思うし、彼らの新作に期待しながら、その世界観に共鳴するような新たな音楽を探している自分がいるのだ。


選曲・文/山本勇樹 - Lori Cullen “Box Of Things”

例えばこんな音楽がふと街角で流れてきたら、どんなに素敵なことだろうと、思うことがあります。何気ない日常や、他愛もない空間に、一瞬にして幸福を運んできて笑顔の花を咲かせる、音楽にはそんな魔法の力があるような気がします。
“いつの時代も街で流れてほしい”という思いを込めて、今回、僕が選んだのは、カナダのジャズ・ヴォーカリスト、ローリー・カレンが2007年に発表したアルバム『Buttercup Bugle』に収められた楽曲です。ワルツのリズムに乗って軽やかに弾むアコースティック・ギターと柔らかな表情をもったナチュラルな歌声、そしてまろやかに全体を包みこむホーン・アレンジの素晴らしさといったら! しかもこれを手掛けたのは、60年代から70年代にかけてニューヨークで活動していた伝説のソフト・ロック・グループ、フリー・デザインのリーダー、故クリス・デドリックというから驚きです。つまりジャズとソフト・ロックの出会いから生まれた、奇跡のような名曲であり、付け加えるなら、ジョニ・ミッチェルやブルース・コバーンといった同郷カナダのシンガー・ソングライターにも通じるような、インティメイトな魅力も感じられます。まさにマジカル・コネクションですね(ちなみにローリーは吉本宏さんが選曲しているジョルジオ・トゥマの「My Last Tears Will Be A Blue Melody」にもヴォーカルで参加しています)。15周年を迎えた「usen for Cafe Apres-midi」、僕はメンバーに加わってからまだ1年足らずですが、これからもリスナーの皆さんの日常や空間を心地よく演出して、心ときめくような選曲を心掛けたいです。


選曲・文/渡辺祐介 - Mocky “Sweet Things”

「usen for Cafe Apres-midi」の選曲する楽しさ=音楽発掘の旅。
インターネットにより音楽を聴く幅がグローバルになって、日々追いつかないほどのリリースを目の当たりにしながら、曲を選び抜く日々を送っております。エスカレイトして、レーベルや本人までたどり着いてCDやレコードを買うこと多々。逆に聴きすぎてしまって、自問自答することも多々ありますが。
そんな中でリリースを待ち受けて選ぶのではなくて、自ら突き進みながら選び抜き、新しく出逢う新しい感覚を持ったミュージシャンと楽曲。たまに時代にあった温故知新感覚で選ぶ過去の素晴らしき音楽たち。
Mockyの楽曲は全てハンドメイドであり、楽器ひとつひとつの魅力を感じることができる心躍るミニマルなグルーヴ。何といっても色の付いていないモノトーンな1960年代的な空間音楽であり、そこにあなたの会話がのると映画のワン・シーンのように感じられるはずです。
そんな空間で、カフェで1杯1杯コーヒーを入れるように、1曲1曲大切に選び抜く。
そこにいる居心地よさと、現在進行音楽より少し先の音楽がここにあると感じることができる、という気持ちになる「また来たいカフェ」を考えながら、選曲するための旅にまた出かけてきます。


選曲・文/添田和幸 - Geoffrey Williams “Ain’t Got No Soul”

今回「usen for Cafe Apres-midi」15周年コンピレイションのお話をいただいたときに真っ先に思い浮かんだのが、80年代から活躍するイギリスのソウル/ R&Bシンガー、Geoffrey Williamsの2012年作『Yes Is The Answer!』のオープニング・ナンバー「Ain’t Got No Soul」でした。
音楽配信サイトのBandcampを気ままにホッピングしていたとき(すべてレコードを使って選曲していた十数年前では考えられませんね)、偶然試聴したのがきっかけで、それ以来「usen for Cafe Apres-midi」でたびたびセレクトしてきましたが、いまだに自分の中でうまく消化しきれないというか、聴くたびに違う風が吹くのです。聴いた瞬間に心奪われる経験って毎日のように新しい音源を探し求めていてもそうそうあるものじゃありませんが、もしセレクターとしてこのチャンネルに関わっていなかったらその機会はもっと少なかったはず。これからもそんな輝きを放つエヴァーグリーンな曲を拾い集めて、リスナーの皆さんと分かち合えたらと思っています。
嬉しいことに『Yes Is The Answer!』が今年になってヴァイナル・リリースされました。個人的には1曲目っていうのが重要で、何度も針を戻しては繰り返し聴いてしまうのです。7インチだったらもっと気分なのだけど(笑)。


選曲・文/ waltzanova - Warmth “When I Become My Own Friend”

「usen for Cafe Apres-midi」のセレクターになって1年、15周年記念のスペシャル・コンピレイションに、なんと自分の選んだ曲が収録されることになり、ひとりの音楽ファンとして感激を抑えられないでいる。チャンネルの選曲をするときは、“街の音楽”ということをどこかしら意識している。街は人の生活のあるところ、というニュアンスで捉えてもらえればいいだろうか。自分と同じように暮らしている人たちのハッピー&ブルーに寄り添うような音楽。そしてささやかな喜びが届けられていれば、と思う。
Warmthは、現在ジャズ・シーンの注目のキーパーソンであるダニー・マッキャスリンの父、ドン・マッキャスリンを中心としたグループ。いかにも70年代西海岸のグループらしく、多彩な音楽性が自然に溶け合い、曲によってはスピリチュアルだったりレア・グルーヴだったりする音像から受け取れる、ヒッピー・カルチャーからの影響を受けた自由なフィーリングが心地よい。最初に聴いたとき、僕はギル・スコット・ヘロンやゲイリー・マークスなどを連想したが、2010年代の今こそ聴かれるべき音楽だ。「Suburbia Suite」の集大成本に倣うなら“Future Antiques”だと思う。
「When I Become My Own Friend」は、ドン自身のピアノと優しいヴォーカルが胸に沁みる、愛すべきワルツ・ナンバー。ちょっぴりノスタルジックで、ささやかだけれど、大切な何かを思い出させてくれる。彼らが週末に演奏していたという、キャピトラ桟橋の先端にあるレストランで過ごしているかのような、潮の香りと光と風を運んでくれる、柔らかで風通しのよいサウンド。音楽の魔法はここにも宿っている。


選曲・文/高橋孝治 - Mint “Grace”

今年で15周年を迎える「usen for Cafe Apres-midi」 。それを記念して作られたこのコンピレイション盤のために自分がセレクトしたのは、Boltfish Recordingsの親玉マレイ・フィッシャーのソロ・プロジェクト、ミントによる「Grace」という作品です。この作品は基本となる旋律に、複数のメロディーが一定の間隔をおいて重ねられていきます。これは「パッヘルベルのカノン」に代表されるカノン様式と呼ばれるものだと思いますが、15周年を迎えた「usen for Cafe Apres-midi」チャンネルも、スタート当時からのコンセプトである「街の音楽を美しくしたい」という想いが基本の旋律として存在し、その旋律をもとに17人の音楽愛好家が時の流れや季節の移ろい、街の空気感などを考慮してそこにフィットする素敵な音楽を重ね合わせていきます。その選び紡がれた音楽の中には各セレクターの浪漫があふれ、ハンドメイドならではの温かさを感じることができるでしょう。だからこそこのチャンネルは現在進行形で常にアップデイトし、今も成長し続けているのだと思います。そしてこのチャンネルの軌跡、さらに未来の姿がこのミントの「Grace」という作品の中にしなやかに表現されていると思います。「Grace」という言葉の意味も「優美」や「気品」「しとやかさ」ということで、すべてにおいて手作りで丁寧に作られているこのチャンネルにぴったりな言葉ですね。


選曲・文/ FAT MASA - José González “Time To Send Someone Away”

この曲を聴くと「usen for Cafe Apres-midi」に参加して間もない頃を思い出します。三谷昌平さんとDJイヴェントでご一緒した際、最近どんなのを聴いているかと尋ねられて、ホセ・ゴンザレスと答えて意外な反応をいただいたと記憶しています。その頃の、ジャズやソウル一辺倒だった僕から、フォークを聴いているという回答は予想もしなかっただろうと、自分でも思うからです。もともと、ネオアコ好きでしたし、ガリアーノがCS&N「Long Time Gone」をカヴァーした辺りからフォークを意識しましたが、90年代後半からハウス、ヒップホップ、R&B、クラブ・サウンドにどっぷり浸かり、それから10年以上過ぎて、「usen for Cafe Apres-midi」に参加して、自宅にPCもない状況ながら(笑)、自宅でUSENに加入して聴きまくる日々でホセ・ゴンザレスを知ります。
シンプルなリズム・ボックス風なトラックにホセの歌とギターのみですが、あっという間に虜になりました。USENを自宅で聴いた印象をさらに塗り替える、橋本徹さんが北海道でDJされたときにかけたインパクトも大きく、必ずしもビートを強調する曲をセレクトしない「さじ加減」に、僕の選曲は強く影響を受けました。


選曲・文/中村智昭 - Gigi Masin “Call Me”

今から15年前、「usen for Cafe Apres-midi」での選曲がスタートした2001年頃の自分にこう伝えたい──「ジジ・マシンという名のアーティストの1986年のデビュー作が、新たなマスタリングを経てオリジナル・フォーマットでついに解き放たれるのは2015年のこと。素晴らしい内容であるにも関わらず、世に僅かな枚数しか存在しないが故にトップ・レアとされるアルバム『Wind』は、日々買い続けているレコードの予算から少しずつ地道に積み立て、さらにはあらゆるルートを駆使することで何としても手に入れ、一刻も早くより多くのミュージック・ラヴァーの耳に届けるべきだ。それはジョアン・ジルベルト『三月の水』やジョニ・ミッチェル『Blue』同様に、時代とジャンルの壁を飛び越え心が震える音楽で、今の君にとってのミュリエル・ウィンストン『Fresh Viewpoint』のように、特別な思いを持って一生愛する盤となるはずだから」と。ビョークやNujabesが彼の楽曲をサンプルするなど道標は落ちていたが、残念ながら最終的に僕は来るべきタイミングまでそこに辿り着けなかった。だが、もしかすると失われてしまった時間の分だけ、未来の風は心地よく吹くかもしれない。水の都ヴェネチアで生まれた「Call Me」は30年もの時を経て、貴方のスピーカーから鳴っている。ようやく始まったジジ・マシンと僕たちとの関係を、一緒に、じっくりと深いものとしていきたい。


選曲・文/小林恭 - Gregory Porter “Be Good(Lion’s Song)”

昨年からこのチャンネルの選曲に加わり、音楽の持つ楽しさや優しさ、心地よさ、そして言葉にできない不思議な力をみなさんと共有できればと思って、ささやかではありますが持っている知識や情報をすべて出し切ってお薦めの音楽を紹介させていただいています。今回は数ある素敵な曲の中から心が安らぐ名曲をご紹介いたします。音楽は時に沈んだ気持ちを救ってくれたり、感動を受けてポジティヴな思考へと変えてくれたり、日々への活力へとつなげてくれます。この曲はそのような力を持っていると思います。世界テロや不安定な政治、自然災害……そんな先行きのみえない時代に柔らかい光を与えてくれます。そう感じるのは、誰をも優しく包み込む力があり、厳しい現実から解放させてくれて、そして心を癒してくれると思うからです。グレゴリー・ポーターの寛容さがにじみでたこの曲は、彼いわく「これは、文化とつながりのある音を欲している人々についての歌」というように、宗教や人種を超えた音楽の普遍的な優しさを感じさせる素晴らしい一曲だと思います。そしてすべてが“Be Good”になることを祈って。


選曲・文/吉本宏 - Giorgio Tuma “My Last Tears Will Be A Blue Melody”

昨年の秋に南イタリアを訪れ、初めてジョルジオ・トゥマに会った。お互いに初めて会うのに、なぜか古くからの幼なじみのような感覚を覚えた。彼の自宅に招かれ、今年のはじめにリリースされた新作のデモ音源として、そのときに真っ先に聴かせてくれたのが「My Last Tears Will Be A Blue Melody」だった。彼は自信に満ちた表情で「この曲は僕の敬愛するモーリス・ラヴェルやピエロ・ピッチオーニ、ビーチ・ボーイズからインスパイアされたんだ」と言いながら、壮大なオーケストラの音に合わせて指揮者のように腕を振った。音の滴が全身に降り注ぎ、僕たちはやわらかな高揚感に包まれた。このときの至福に満ちた体験は僕の記憶の中にその情景とともにしっかりと刻み込まれている。この曲を聴くたびに、僕はあの夏の終わりの昼下がりの南イタリアの空気を思い出す。僕にとっての記憶を呼び起こす音楽。それは、音楽を介した言葉を超えたコミュニケイションであり、その人の記憶に静かにコミットしていくものなのだ。
“記憶にささやきかける音楽”。僕が選曲をするときに心がけているのは、リスナーの記憶の断片に残り、遠い記憶を呼び起こすような音楽を選ぶということだ。例えば、料理人が素材や調理法だけを吟味するのではなく、ある人が遠い昔に食べた母親の手料理を思い出させるような一皿をさりげなく品書きに忍ばせるような、人の記憶の奥底に働きかける音楽を選びたいと思っている。音楽は記憶と強く結びついている。あるとき聴いた音楽が未来のどこかの時間でそのときをしっかりと思い出させるような体験は、さらにその人の記憶に強く残ることだろう。僕にとっての選曲の魅力はそんなところにある。


選曲・文/中上修作 - Israel Varela Trio “Children Of Light”

「usen for Cafe Apres-midi」の17人の音楽愛好家は、橋本徹さんが提唱する「街の音楽を美しくする」という希いを徹底的に共有しつつ、個人個人の“見立て”に基づき選曲をしているところがユニークなのです。私自身15年間選曲に携わってきて感じることは、BGMを作るという作業は特定の空間や人に向けたものではない分、年代もジャンルも違う様々な曲を組み合わせてストーリーを作り上げる「作曲」に似た行為だということ。どこにも際立ったところがなく破綻のないデザインを持った時間、豊穣な時の流れ。あとから「雰囲気のよい空間だったな」と感じていただけるような選曲を、これからもめざしていければと思っております。
「usen for Cafe Apres-midi」による「静かなるイノヴェイション」は、ハンドメイドの温度を保ちながら着実に深化し、様々に空間を彩っていくことでしょう。「光の天使」と名づけられた、この素晴らしきミナス・マナーも例外なく。


選曲・文/武田誠 - Whinnie Williams “You Don’t Love Me”

1曲ごと注意深く選曲するこのチャンネルでは、リスナーの大切な時間を引き受け、親密に寄り添うものとして音楽と向き合っている。そうして考えると、担当する時間帯の選曲を実際に組み立て、聴きなおすという段階で、なにか自分のセレクションは抑制を欠いた無神経なもののように思え、なんども愕然としてしまう。レコード棚から過去の音源をひっぱりだし、インターネットから新譜情報を収集したりのインプット作業だけでは何かが足りないことに。そんなとき、本でも傍にかかえ街に出ると、想像の世界でよどんだ耳の感受性が、現実の空気にさらされしなやかになる。曲を選び、編んでいくというアウトプット作業に、それまでとは違った風通しのよい楽な息づかいを感じることができる。そして、そんな街の空気に浮かび上がる心象風景のように、新しい文脈で解釈された瑞々しい奥行きのあるサウンドトラックが聴こえだしてくる。
なんといっても、ヌーヴェル・ヴァーグ×フレンチ・モッズなMV(映像作品は三部作)に魅了されたウィニー・ウィリアムズの「You Don’t Love Me」。1991年にセイント・エティエンヌも引用したダスティー・スプリングフィールド「I Can't Wait Until I See My Baby's Face」を思わせるフレーズをモティーフに、新たな美意識で60sガール・ポップ風に昇華させたナンバーだ。甘くせつない恋の終わりの予感をはらんだ、曇り空のブライトン・ビーチの遠い波音が聴こえてきましたでしょうか? 初CD音源化。


選曲・文/三谷昌平 - New Zion w. Cyro “Sunshine Seas”

自分の中で「完成形」と思われた選曲も数年経てば古臭く感じることがある。これは時代の変化によるものであり、「最も変化に適応できる種が生き残る」としたダーウィンの言葉ではないけれども、選曲において時代感を持つことは大切なことだと思う。チャンネルがスタートした15年前と比べ、カフェ等で流れるBGMに対する人々の意識は高くなった。それに伴いジャズやブラジル音楽を中心とした心地よいサウンドを集めたコンピレイション等も増えたが、それがいかに素晴らしいものであったとしても、その時代にジャストな選曲というのはそうあるものではない。そこに「生きているハンドメイド・チャンネル」としての僕らの存在意義がある。クラシックスと言われるような作品は当然これからも普遍的なものとしてあり続けるが、時代の移り変わりとともに聴かれる音楽のテイストは少しずつ変わっていく。僕たちはそんな時代の空気の微妙な変化を感じながら、常に新しい提案をしていかなくてはならない。ここに紹介するニュー・ザイオンは、そんな時の流れの中で、近年選曲に加わってきたアーティストだ。レゲエをベースにピアノ・ジャズを融合した彼らのデビュー作『Fight Against Babylon』はすでに「usen for Cafe Apres-midi」クラシックと言ってもいいだろう。収録した「Sunshine Seas」はサンパウロ出身の打楽器奏者、シロ・バプティスタとの共演盤からのタイトル曲で、優しい女性ヴォーカルが印象的なナンバーだ。ぜひ皆様の愛聴曲に加えていただけたらと思う。


選曲・文/ヒロチカーノ - The Leisure Society “The Sleeper”

今ではほとんどのUSENのチャンネルで、金太郎飴選曲といって、どこを切っても同じ雰囲気を保ったジャンルやテンポの曲が自動でシャッフル放送されていますが、「usen for Cafe Apres-midi」だけは、今でも開設当時から変わらぬハンドメイド選曲を貫いています。そこからは、流れる時間帯や季節にあわせて、まるで四季折々で変化するコース料理のように、17人の音楽愛好家が選んだジャンルを超えた名曲が、心地いい曲順と間で流れてきます。そして、その流れは15年という長い月日の中で時代とともに少しずつ進化してきました。例えば、2010年以降はフォークとエレクトロニカの音楽要素が融合した現代進行形のSSWやインディー・ポップが選曲の中に占める割合が増えてきましたが、今回紹介するThe Leisure Societyの「The Sleeper」は、そんな新しい選曲の潮流を象徴する1曲で、この曲を初めて聴いたときの衝撃は今でも忘れられません。それは、ジョアン・ジルベルトやピエール・バルーの「サラヴァ」を初めて聴いたときと同じくらい、僕の音楽人生に多大なる影響をもたらしてくれました。15年前、初めて橋本徹さんと出会ったときに、“選曲では自分が好きな曲だけを選びます”と言った彼の言葉をよく想い出しますが、これからも、まずは自分自身が心から素晴らしいと思えた曲だけを流すことで、“街に愛される音楽”が流れるチャンネルであり続けたいと願っています。


選曲・文/富永珠梨 - Kings Of Convenience “24-25”

私がはじめてこのチャンネルの選曲を担当させていただくようになったのは、今からちょうど10年前の“Early Summer Selection”からでした。その頃から今も変わらずに心掛けていることがあります。それは、遠く離れた大切な友人に手紙を書くような気持ちで丁寧に選曲をすること。目に映る四季の機微を「音楽の絵葉書」にして、大切な人に届けられたらどんなに素敵なことだろう……そんな想いで続けてきました。2009年にリリースされたKings Of Convenienceの『Declaration Of Dependence』は、遠く離れた場所に住む親しい友人から贈られたシーズンズ・グリーティングのようなアルバムでした。彼らが奏でる儚くも美しいアコースティック・ギターの音色と、透き通るような歌声を、何度も何度も繰り返し聴いては、まだ見ぬ北欧の風景に想いを巡らせていました。この愛しいアルバムから、冒頭の「24-25」を15周年アニヴァーサリーの1曲としてセレクトしました。静かな湖畔に漂う冬の気配、低く垂れ込めた薄曇りの空、雲の隙き間に溶けてゆく水鳥の群れと、木立を揺らす透き通った蒼い風。彼らの音楽は、そんな風景を私の心に想起させてくれるのです。これからも、移り変わる季節の美しさや何気ない日常の輝き、日々心に生まれた喜びや感動を、大切な人へ向けた一枚の絵葉書をしたためるように、音楽を紡いでいきたいです。


選曲・文/高木慶太 - Nicholas Krgovich “By Your Side”

タイムリーにしてタイムレス。
このチャンネルが果たすべき役割を僕はそう捉えている。時流を追うのではなく、作る。むしろ追いつかせるくらいの気概さえ持って。この内なる炎を5年に一度くらいこうやって形にして、少しだけ立ち止まって振り返り、うっすらと足跡のような残像を確認して、また静かに走り出す。ただただ音の鳴る方へ。蛇行、寄り道、スロウダウン。その分だけ手にする音源も景色もカラフルに変化する。まっすぐ走り続けたつもりがグルッと周って同じところにいたなんてこともあるかもしれない。時には直進、疾走、脇目も振らず、特定のアーティストやジャンルに夢中になってしまうことも。
自らの心が動かされずして、リスナーの心を動かすことなどできるものか。一曲たりとも感情移入を忘れたことはない。いや、忘れること自体ができない。むしろ感情移入過多を回避することに腐心しているほどだ。これまでもそうしてきたし、これからもそれは変わらない。愛は溢れさせてこそ。僕らにはそれを選曲という形で表現することを許された特権があるのだから。
そして、いつか、ニコラス・ケルゴヴィッチが最愛のシャーデーに宛てたラヴレターに匹敵するような一編を編みたいと思う。


01. 3 Days / Rhye
02. Box Of Things / Lori Cullen
03. Sweet Things / Mocky
04. Ain't Got No Soul / Geoffrey Williams
05. The Rhythm Changes / Kamasi Washington
06. You've Got A Friend / Jesse Fischer & Soul Cycle feat. Gretchen Parlato
07. When I Become My Own Friend / Warmth
08. Grace / Mint
09. Time To Send Someone Away / José González
10. Call Me / Gigi Masin
11. Be Good (Lion's Song) / Gregory Porter
12. My Last Tears Will Be A Blue Melody / Giorgio Tuma
13. Children Of Light / Israel Varela Trio
14. You Don't Love Me / Whinnie Williams
15. Sunshine Seas / New Zion w. Cyro
16. The Sleeper / The Leisure Society
17. 24-25 / Kings Of Convenience
18. By Your Side / Nicholas Krgovich
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