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V.A.『Good Mellows For Moonlight Rendezvous EP2』

通常価格(税込): 1,980
販売価格(税込): 1,980
ポイント: 18 Pt
プレス工場が混み合い年越しのリリースとなりましたが、お待たせしました! 橋本徹が監修するSuburbia Recordsから発表され大好評を博している“Good Mellows”シリーズの第3弾コンピからのセカンド・アナログ・カットとなる『Good Mellows For Moonlight Rendezvous EP2』が1/16に先行入荷します。A1は、透明感あふれるピアノをメインにひたすら美しくロマンティックに仕立てられた、あのフランキー・ナックルズ「The Whistle Song」を彷彿させる素晴らしすぎるジェニファ・マヤンジャによるリミックス。A2は、来日DJツアーも人気を呼んだビートダウン〜アンビエント/アーバン〜ネイチャーを横断するメルボルンの至宝アンドラス・フォックスの名曲を、ラリー・ハードを思わせるクール&メロウかつダンサブルな美しいミッドナイト・グルーヴに生まれ変わらせたナイス・ダブ・ヴァージョン。B1は、ジョー・クラウゼルからCalmやDJ YOGURTまでが絶賛しAgoriaがミックスを手がける、アフロ・チャント×アンビエントが天上の響きのように快いハートウォームな西アフリカ的センスとハイブリッド&チルアウトな音響の理想的な融合。B2は、近年のセオ・パリッシュのベスト・リワークと誉れ高い、マルコス・ヴァーリのメロウ&サウダージな名作を甘美で中毒性の高いビートダウン×ダブの最高峰へとリコンストラクトしたリオ×デトロイトの世紀のコラボレイション。アプレミディ・セレソンでお買い上げの方にはもれなく(通販含む)、橋本徹・選曲のスペシャルCD-R『2015ベスト・トラックVol.1』と『2015ベスト・トラックVol.2』をプレゼント致しますので、お見逃しなく!


『Good Mellows For Moonlight Rendezvous』ライナー(橋本徹)

2015年の春・夏にリリースされた『Good Mellows For Seaside Weekend』『Good Mellows For Sunset Feeling』が、国内から海外まで幅広くご好評いただき、秋にも“Suburbia Records”第3弾となるコンピレイション『Good Mellows For Moonlight Rendezvous』をお届けできることを、とても嬉しく思う。

ジャジー&オーガニックなビートダウン・ハウスから、メロウ・ドリーミンなチルアウト・バレアリカ、ダビー&フローティンなメランコリック・アンビエントまで、月の輝く夜、神秘的でロマンティックな音の桃源郷へと誘ってくれる、珠玉の名トラックばかりを83分にわたって集めることができ、胸の鼓動を抑えることができない。柔らかな叙情が息づく優雅なメロディー、心震わせるビートと麗しいサウンドスケープを月夜の輝きに託した、甘美な至宝が連なる至福の音楽旅行をぜひ楽しんでいただけたらと願わずにいられない。

しかも今回の“ムーンライト・ランデヴー”編は、何と収録曲の2/3以上が世界初CD化というのも特筆すべきトピック。美しい月夜の魔法を宿した音楽たち(それはときに天上の調べ、夢幻の響きのようだ)に相応しい素敵なアートワークは、前作・前々作に続きNujabesやCalmの作品でもお馴染みのFJDによる描き下ろし。僕自身の選曲は、その恍惚ゆえ、これまでに比べ少しドラマティックな色彩を帯びてしまったかもしれないが、すべての音楽ファンに薦めたい胸を打つメロウ・チルアウト・セレクションになったと確信している。そんな永遠に聴いていたくなるような音の流れ、それではさっそくエントリーした全15曲を順に紹介していこう。

「初めて天の川を見た夜のことを私は覚えている」
オープニングに置いたのは、ススム・ヨコタの「Amanogawa」。長い病気療養の末、2015年3月27日に彼が54歳で永眠されたという報せを知ったのは、ちょうど前作『Good Mellows For Sunset Feeling』を作り終えた直後の7月初めだった。もちろん“Rest In Peace”の祈りをこめた追悼選曲という意味合いもなくはないが、シンプルに、このコンピレイションのコンセプトに合う素晴らしい音楽だからまず最初に、と考えた。レーベルの方で楽曲の権利者がわからず、収録をあきらめかけていたときに連絡をくれ、「何とかするから、曲順決定を少し待てないか」と言って尽力してくれたのは、『Good Mellows』コンピ常連でもあるSeahawks/Lo RecordingsのJon Tye。心から感謝している。言わずもがなかもしれないが、ススム・ヨコタについても少し。日本人として初めて“ラヴ・パレード”に出演し、世界的にも高い評価を得ていた(ビョークやトム・ヨーク、フィリップ・グラスらも熱心なファンだという)彼だが、僕がその作品を愛聴するようになったのはやはり、ブライアン・イーノの再来と英メディアで絶賛された1999年の『Sakura』から。リリカルな美しさを湛えた「Amanogawa」がラストに入っていた『Image 1983-1998』は、そのすぐ後に聴いたのだった。デトロイト・テクノに通じるようなPrism名義の『Metronome Melody』などもさかのぼって気に入ったが、以降では、流れる風と白い雲のように瑞々しい情趣をエレガントにまといラリー・ハードを連想させた2002年の『Sound Of Sky』や、バロックから印象派までを電子音楽と官能的なまでに融合した2004年の『Symbol』がとりわけ印象深い。テクノもハウスもエレクトロニカもアンビエントも、ジャズやクラシックの要素も、すべてがススム・ヨコタの色に染まる彼の音楽は永遠に不滅だ。

続く2曲目は、ジョイスが歌うカエターノ・ヴェローゾ作「Joia」のヴォイス・サンプルも心地よい、Beginの甘やかなスローモー・バレアリカ「Help Me」を、と当初は考えていたが(「Amanogawa」がライセンス OKとなる前は、1曲目もMusic For Dreams初期の夜の帳に包まれるような香り高いメランコリック・ダウンテンポ、Blissの「The Suns Of Afterlife」を予定していた)、この夏のお気に入りだったチューリッヒのLexxによる「All That Is Now」に。スイスのPhantom Islandレーベルから限定プレスされた7インチのB面曲で、こちらは夕闇の儚いアンビエンスを湛えた柔らかなフォーキー・バレアリカで、ギターのアクセントも効いたフローティン・ミディアム。ニューヨークのシンガー・ソングライター、Bing Ji Lingによるルース・エンズのUKソウル・クラシック「Hangin’ On A String」のカヴァーを、Lexxが夕暮れメロウにリコンストラクトしたA面もいい、ナイス・カップリング・シングル。

続いては、2007年にリリースされた限定500枚12インチのB面曲ながら、知る人ぞ知る人気曲(CalmやDJ YOGURT、ジョー・クラウゼルも絶賛していた)、Donsoの「Waati」。アフロ・チャント×アンビエントが快い、民族音楽とエレクトロニクスの幸福な出会いの結晶。マリ出身のGedeon率いるユニットらしい西アフリカ的なセンスと、ハイブリッド&チルアウトな音響の理想的な融合が実現している。ハートウォームな歌声と絶妙に溶け合い、クールなバランスを見せるフューチャリスティックな音像は、テック・ハウスの名手として知られるAgoriaがミックスを手がけており、彼のレーベルInfineから。

そして“Good Mellows”の屋台骨と言っていいかもしれない、現行バレアリック・チルアウト最高峰レーベルInternational Feelより、絶好調・傑作連発の主宰マーク・バロット。2枚のEPが昨年アルバムにまとめられ高い評価を受けた“島からのスケッチ”、その第3弾となる『Sketches From An Island 3』から、ひたすら気持ちよく爽快グルーヴィーなFree Soulチューン「Right 4 Me」を(ジャイルス・ピーターソンからLexxまでがヘヴィー・プレイし、すでに入手困難で探している人も多いと聞く)。軽快なギター・カッティングに乗って、きらめく多幸感と瑞々しいシーサイド・フィール。ハッピー・ヴァイブにあふれた極上のサウンドスケープは、バレアリック・メロウ・ビーツと呼んでもいいだろう。

カナダ出身で、近年はベルリンに拠点を移したEddie Cとは、つい最近「Montreux Jazz Festival Japan」の“RAINBOW DISCO CLUB”というパーティーで、DJを共にした。ビートダウン・ブギー~スローモー・ハウス、あるいはニュー・ディスコ/リエディットの旗手として(そしてヴァイナル・ディガーとしても)、もはや日本でもよく知られる存在だろう。今回は主宰レーベルRed Motorbikeからホワイト・ラベル限定300枚の7インチとして発表された「The Day Will Come」をセレクト。コモン「Take It Ez」のサンプル・ソースとしても名高い、僕は『カフェ・アプレミディ・オランジュ』に収めたサンセット・メロウ・グルーヴの記念碑、Rasa「When Will The Day Come」を、哀切こみ上げる原曲の佇まいを生かしながらシャープにカットアップ・エディットしている。Eddie Cは他にもDJプレイで重宝するレコードが多く、最もスピンしたのはEP『Between Now And Then』だろうか。タイトル曲に加え、Free Soulファンにはお馴染みのハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツ(~コリンズ&コリンズ)「You Know How To Make Me Feel So Good」やスタイリスティックス「People Make The World Go Round」のナイス・リワークも入っている。最近はやはりFree Soulクラシックのドナルド・バード「Where Are We Going?」のリエディットも人気。

Giorgio Luceriはシカゴのディープ・ハウス的な作風を持ち味とするイタリアのDJ/プロデューサーだが、今年リリースされた最新EPの『Moon Life Theatre』というタイトルは、このコンピレイションのテーマに相応しく、そこに収められていた「Love Is A Storm」のJenifa Mayanjaによるリミックスは、何とも素晴らしすぎる隠れた逸品だ。透明感あふれるピアノをメインに、ひたすら美しくロマンティックなブロークン・ハウスに仕立てている。Underground Qualityを主宰するJus-Edの妻でもあるJenifa Mayanjaは、ウガンダ生まれで、ニューヨークを拠点にディープ・ハウス・シーンを背景にしたエクレクティックなDJスタイルに定評があり、自らはBu-Makoというレーベル/パーティー/インターネット・ラジオを主宰する、才気あふれる黒人女性アーティスト。かつてはイースト・ヴィレッジの伝説のレコード・ショップ「Dance Tracks」のバイヤーであり、ジョー・クラウゼルのレーベルSpiritual Life Musicの立ち上げにも携わった。僕は彼女の作品はもちろん、繊細な女性らしい手つきのリミックス・ワークにも惹かれていて、このトラックはまさにその白眉。近年ではDenis Clifford「King Of Dreams」の“Jenifa Mayanja Mystical Remix”なども印象に残っている。

『Good Mellows For Sunset Feeling』のライナーでも詳しく紹介したアンドラス・フォックスは、まもなくこのコンピレイションのリリース記念DJパーティーに出演してもらうため、メルボルンから招くほど大好きなビートダウン~アンビエント/アーバン~ネイチャーを横断するサウンド・クリエイター。日本独自編集盤『Soft Illusions』も好評のようで何よりだ。今回もぜひ彼と盟友オスカーの名作を、と考えながらも、セレクション候補が多くて悩んだが、今夏アムステルダムのキッド・サブライム主宰Dopeness Galoreがリリースした限定500枚ヴァイナル・オンリーの12インチから、マイ・フェイヴァリット・ソング「Looking Back」の、同じオーストラリアのTornado Wallaceによるダブ・ヴァージョンを。2014年のミニ・アルバム『Cafe Romantica』でもひときわ魅力的だったオリジナルは、柔らかなチルアウト・ハウスという風情だったが、ダビーでクールでメロウ、かつダンサブルな美しいディープ・ハウスに生まれ変わらせている。前曲との相性もすこぶるよく、まさしくアナログ・エレクトロニック・サウンドという趣きの、まろやかで艶のある至高のミッドナイト・グルーヴ。浮遊感と清涼感、ベースの存在感は、ラリー・ハードやムーディーマンにも通じる。

ここからは、コンピレイションのハイライトと考えているパート。南アフリカ出身でベルリン在住のミニマル/ハウス系アーティスト、Alan AbrahamsがPortableと名乗って発表した、端整なポストカード・ジャケットも美しい12インチから「Surrender」。これは掛け値なしに奇跡の名曲だと思う。黄昏メロウで、ラリー・ハードを思わせるように繊細でオーガニック&アトモスフェリックな珠玉のビートダウン。情趣豊かで憂愁漂う、優美なメロディーにピアノとフルート、優しく温かく沁みてくるアコースティックな質感。フィーチャリングのLcioも素晴らしい。ドイツはフランクフルトの先鋭的なクラブRobert Johnsonのレーベル、Live At Robert Johnsonからの2014年末のリリースで、カップリングされていた“Dub Version”も胸に迫る。あのDJ Kozeも惚れ込んだのだろうか、僕が今年になって最も感銘を受けたミックス盤『DJ-Kicks』のクライマックスでエディット使用していた。

続いてはカインドネス一世一代の名作だと思う「I’ll Be Back」の登場。ご存じイギリスのシンガー・ソングライター、アダム・ベインブリッジによる人気プロジェクトだ。言ってみれば、チルウェイヴ経由インディーR&B/ハウス好きのアーバン・ミュージック。洗練されたソングライティングに根ざした、現代のスタイリッシュなブルー・アイド・ソウル~AORアクト、という見方もできるだろう。ブラッド・オレンジやケレラも参加した2014年のセカンド・アルバム『Otherness』(プレス・リリースに影響を受けたアーテイストとして並んでいた名前は、ディアンジェロ/ハービー・ハンコック/プリンス/シャーデー/ピート・ロック&C.L.スムース/ケイト・ブッシュ/坂本龍一だった)は僕もよく聴いたが、この曲はその中でも出色のキラー・チューン。流麗なピアノとフィンガースナップに導かれる、ミスター・フィンガーズ(ラリー・ハード)にも通じる典雅でメロウ&ジャジーなディープ・ハウス・フィーリング。淡いファンクネスと繊細なグルーヴに宿る、心のひだに優しく寄り添ってくれる心地よいまどろみと琴線に触れるメロディー。そしてエンディングに向かって感極まっていくエモーショナルな歌声。『Good Mellows』コンピには必ず1曲、誰の心にも染みわたるような有名な曲を入れようと思っているが、今回はこれ。『2010s Urban-Mellow』シリーズにおけるRhyeのような存在、と言えるかもしれない。今春の渋谷・クラブクアトロでのライヴでは、本編ラストでよりダンサブルに演奏されていた。

そしてカリズマのとびきり美しい至宝、いや金字塔と言える「Nuffin Else」の“Nellie’s Annointed Dub”へ。2015年のレコード・ストア・デイ限定500枚の10インチからだが、実はここまでの3曲の流れは、この夏に江の島・シーキャンドルのサンセットテラスで僕がナヴィゲイトさせてもらった「夕陽と海の音楽会」で実際に続けてかけた、言わば“思い出リレー”だ。ソリッドなビートに、エレガントでジャジーな本当に美しすぎるピアノ、それにゴスペル・ライクな高揚感あふれる、輝かしいほどソウルフルなヴォーカル・フレーズが織りなす、エモーショナル&ファンタスティックなハウス。2013年の『Wall Of Sound』ではアグレッシヴだった原曲が、これほどメロディックに生まれ変わるのかと思うほど、最高のセルフ・リワーク、極上のダブ・ヴァージョンだ。その至福にムーディーマンの「Ya Blessin’ Me」を思い浮かべるのは僕だけだろうか。カリズマと言えば、90年代後半のベースメント・ボーイズ在籍時代や、僕も大好きな哀愁ピアノ・ハウス・ブレイクス「The Power」、あるいはジャイルス・ピーターソンにフックアップされた「Twyst This」が話題を呼んでソロとして飛躍した頃のイメージが強いかもしれないが、これは間違いなく彼の新しい代表作だと思う。ハウス~テクノ~ジャズ~ラテン~アフロ~ブロークン・ビーツをクロスオーヴァーする人気プロデューサーとして、彼はいまだ健在なのだ。

続くSaint Petersburg Disco Spin Clubは、ニュー・ディスコ/バレアリック/リエディットのフィールドではロシア屈指の新星、人気アクトと言えるだろうミュージシャンとDJのコレクティヴ。ダニー・ハサウェイの名曲中の名曲「Love, Love, Love」(J.R.ベイリー作)をリワークした「Love Spin」は、スリージー・マックイーンが主宰するフランスのレーベルWhiskey Discoから2012年にリリースされた同名のEPより。ダビーにメロウにレイドバックした、中毒性の強いスローモーなビートダウン・ブギーに仕上げている。同じ盤にはウクライナ出身の注目株Volta Cabによるリミックスも収録。コヨーテによるバレアリック・ハウスの草分け的なレーベルIs It Balearic?から出たEP『Galernaya Live Sessions Vol.1』にも、ヴァージョン違いがB面に。

今春に英Far Outからリリースされ話題沸騰となったマルコス・ヴァーリ×セオ・パリッシュの世紀のコラボレイションは、『Good Mellows For Sunset Feeling』制作の際に、前曲と共にすでにライセンスOKの知らせが届いていたから、ようやくセレクトすることができて嬉しい。これもまた中毒性の高いビートダウン×ダブの珠玉。マルコスの2010年作『Estatico』に収められていた「1985」を、楽曲本来のメロウネスを大切に、ほのかにサウダージを香らせつつも、ホセがざらついた硬質なビートと沈み込むようなグルーヴで再構築していて、近年の彼のベスト・リワークとも言えるほどの絶品リミックスだ。甘美なキーボード・ワークにパーカッション、ドープなベースにストリングス。リオ×デトロイト、ボサノヴァ第2世代のメロディアスなシンガー・ソングライターとブラック・フィールみなぎる最重要DJ/プロデューサーの邂逅に相応しい、ジャズでラテンでボサでディープでロウな感触は唯一無二だ。アジムスやジョイスなども招いて、ロンドンで一貫してブラジリアン・ミュージックの発信そしてアップデイトに努めてきたジョー・デイヴィス率いるFar Outとセオ・パリッシュの顔合わせでは、アルトゥール・ヴェロカイも参加しているFar Out Monster Disco Orchestra「Keep Believing」のリコンストラクションも、これに優るとも劣らないくらい大好きだ。

続いてはイビサ×デュッセルドルフ、International Feelから再びのエントリーとなるホセ・パディーヤ×ウォルフ・ミュラーは、『Good Mellows For Seaside Weekend』にやはり空間性に富んだサウンド・メイキングが冴える「Solito」を収録したが、今回はホワイト・ラベル&ハンド・スタンプのプロモ12インチとして限定300枚だけこの夏に出まわった貴重な『Wolf Muller Dubs』から、ホセ・パディーヤの最新アルバム『So Many Colours』にも未収録だった「Oceans Of The Moon」の“Wolf Muller Donkey Kong Beach Dub”。ダビー&トリッピー、オーガニック&アンビエント、彼らならではの立体的な気持ちのよい音響に、憂いのある旋律が絡んでいくエキゾティック・バレアリカ。音の鳴りも抜群で、その魔術的とも言える不思議な吸引力には抗えない。

そして『Good Mellows』コンピ3回連続の登場となる、リヴァプールのNuNorthern Soulレーベルの代表格B.J.スミス。JJ・ケイル/テリー・キャリアー/ジョン・マーティンというフォーキー&ソウルフルな面々にインスパイアされて始めたという、彼の新しいEPシリーズ三部作『Between Ship And Shore』の第1弾から、ポスト・バレアリック~ポスト・ニュー・エイジの担い手ジョニー・ナッシュによる「Hold On To It」のリミックスを。繊細で緩やかなディレイド・ギターが心地よい、浮遊感と空間性に富んだアトモスフェリックな音像。幻想的なまどろみに漂うように身を委ね、時間を忘れるような、まさに桃源郷へと誘われる夢見心地のレイドバック・チルアウト。そこには洗練と静寂、情趣と余韻が同居し、わびさびの中にかすかなオーシャン・フィールが香っている。『Good Mellows For Sunset Feeling』にはジジ・マシンらとのGaussian Curveの一員として顔を見せたジョニー・ナッシュが、自ら立ち上げたレーベルMelody As Truthの3枚のEPも僕はお気に入りで(アートワークやファッションへのこだわりにも好感が持て、ビューティフルなMusic From Memoryという趣きだ)、彼自身の美麗アンビエント名作『Phantom Actors』『Exit Strategies』はもちろん、Suzanne Kraftのメランコリック・モダンな『Talk From Home』にも関心を促したいと思う。一方で、この曲のダビーでフォーキー、オーガニックでバレアリックな個性はB.J.スミスならではで、同じEPの静かなピアノ弾き語りに始まる「We Can Sail」も、例えばロバート・ワイアットを聴くように泣けてしまう。NuNorthern Soulから送られてきて、実はすでに聴かせてもらっている、A Man Called Adamによるリミックスを含む次のEPがとても素晴らしいことも、併せて付け加えておきたい。

エンディングに選んだのは、僕ら世代には懐かしい名前だろう、ジェシカ・ローレン。英クラブ・ジャズ・シーンで90年代前半から活躍してきた、女流キーボーディストだ。1993年にSoul Jazzに残した2枚の12インチ(翌年にSudden Impactにフィーチャーされた演奏も含めれば3枚ということになる)でのエレピが、僕は忘れられない。絶対に埋もれさせてはいけないという強い思いと共に(かつては『Beach - The Big Chill』というチルアウト・コンピやTurin Brakesによる『Late Night Tales』でも聴くことができた)、今回のコンピレイションのラスト・ソングとしたのは、2000年に発表された彼女のセカンド・アルバム『Film』に秘められた小さな宝石「A Pearl For Iona」。月明かりの夜の浜辺で、波の音と聴きたいような、ただただ美しい曲だ。『Good Mellows For Moonlight Rendezvous』のしめくくりは、僕にはこれ以外に考えられなかった。


追記:
コンピCD『Good Mellows For Moonlight Rendezvous』の中から、特に入手困難だった曲やクラブ・ユースに向いた音源を選りすぐった、4曲入りのアナログEPも2枚リリースされますので、そちらもぜひお楽しみください。


『Good Mellows For Moonlight Rendezvous EP2』(レコード)
A1. Love Is A Storm (Jenifa Mayanja Remix) / Giorgio Luceri
A2. Looking Back (Tornado Wallace Dub) / Andras & Oscar
B1. Waati / Donso
B2. 1985 (Theo Parrish Remix) / Marcos Valle

『Good Mellows For Moonlight Rendezvous』(CD)
01. Amanogawa / Susumu Yokota
02. All That Is Now / Lexx
03. Waati / Donso
04. Right 4 Me / Mark Barrott
05. The Day Will Come / Eddie C
06. Love Is A Storm (Jenifa Mayanja Remix) / Giorgio Luceri
07. Looking Back (Tornado Wallace Dub) / Andras & Oscar
08. Surrender / Portable feat. Lcio
09. I’ll Be Back / Kindness
10. Nuffin Else (Nellie’s Annointed Dub) / Karizma
11. Love Spin / Saint Petersburg Disco Spin Club
12. 1985 (Theo Parrish Remix) / Marcos Valle
13. Oceans Of The Moon (Wolf Muller Donkey Kong Beach Dub) / Jose Padilla
14. Hold On To It (Jonny Nash Remix) / B.J. Smith
15. A Pearl For Iona / Jessica Lauren
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