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V.A.『Free Soul ~ 2010s Urban-Jazz』

通常価格(税込): 2,200
販売価格(税込): 2,200
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Toru Hashimoto Compilation > Free Soul

お待たせしました、Free Soulのニュー・パースペクティヴ、シャープに艶やかにクールな進化を遂げ充実を極めている現在進行形ジャズのカッコ良さとアーバンな魅力を凝縮した決定版セレクション『Free Soul ~ 2010s Urban-Jazz』が5/15に先行入荷します。現代的な意味を持つビョーク/フランク・オーシャン/J・ディラ/ミルトン・ナシメント/ローラ・ニーロといった意義深い絶品カヴァー群、フィーチャリング・ヴォーカルにはベッカ・スティーヴンス3曲/エスペランサ・スポルディング/クリス・ターナーといった今をときめく人気シンガー、そしてさながら現代のジャズメン名鑑のような錚々たる顔ぶれがきら星のごとく名を連ねるパーソネル。70年代周辺のニュー・ソウル〜メロウ・グルーヴやディアンジェロ/エリカ・バドゥに代表されるネオ・ソウル、トライブ・コールド・クエストやJ・ディラなどのヒップホップを昇華した新世代ジャズの名作・名演を選りすぐった、唯一無二の珠玉のコンピレイションです。アプレミディ・セレソンでお買い上げの方にはもれなく(通販含む)、橋本徹・選曲のスペシャルCD-R『More 2010s Urban-Jazz』と『Good Mellows For Sunset Beach』と『Good Mellows For Sunrise Beach』をプレゼント致しますので、お見逃しなく!


『Free Soul~2010s Urban-Jazz』ライナー(橋本徹)

シャープに洗練されたビート、陰影に富んだグルーヴと艶やかなメロウネス、心地よい浮遊感と陶酔感。ロバート・グラスパーの登場あたりを契機に充実を極め、クールな進化を遂げる現在進行形ジャズのカッコ良さとアーバンな魅力を凝縮した決定版コンピレイション『Free Soul~2010s Urban-Jazz』を、満を持してここにお届けする。

2014年初頭に作った『Free Soul~2010s Urban-Mellow Supreme』には、ロバート・グラスパー・エクスペリメント×ノラ・ジョーンズ、そのRGEを支える才人デリック・ホッジ、対照的な個性の持ち主である新世代ジャズ・ヴォーカリストのホセ・ジェイムスとグレゴリー・ポーター、さらにテイラー・アイグスティ×ベッカ・スティーヴンスによるエリオット・スミスのカヴァーや、ジェラルド・クレイトン×グレッチェン・パーラトにケンドリック・スコット・オラクル×アラン・ハンプトンといった顔ぶれを収めていたので、今回の『2010s Urban-Jazz』はその発展形と位置づけることもできるだろう。『Free Soul~2010s Urban-Groove』のテラス・マーティン×ケンドリック・ラマーやセラヴィンス(リチャード・スペイヴン)、『Free Soul~2010s Urban-Sweet』のクリス・バワーズ×クリス・ターナーやテラス・マーティン×クインシー・ジョーンズ(それにエリザベス・シェパードも)などを、この予告編として聴いていただくことも可能だったはずだ。現代ジャズにフォーカスした『Ultimate Free Soul Blue Note』のディスク3(カサンドラ・ウィルソン〜ノラ・ジョーンズからロバート・グラスパー×エリカ・バドゥ、ジェイソン・モラン×ミシェル・ンデゲオチェロやオーティス・ブラウン3世×グレッチェン・パーラトまで収録)については、言わずもがなだろう。

それにしても、パーソネルを眺めているだけで、よくぞここまで錚々たるメンバーが集まったものだと、胸が高鳴ってしまう。ジャズの進化を伝えるリチャード・スペイヴン/エリック・ハーランド/ジャマイア・ウィリアムス/マーカス・ギルモア/ブライアン・ブレイドといったドラマーに、ピアニストにはロバート・グラスパー/テイラー・アイグスティ/ジェイソン・モラン/エリック・レニーニ/マーク・キャリーといった面々が並び、ミゲル・アトウッド・ファーガソンやサンダーキャットから、リオーネル・ルエケやウェイン・ショーターまで、さながら現代ジャズメン名鑑のようだ。

ビョーク/フランク・オーシャン/J・ディラ/ミルトン・ナシメント/ローラ・ニーロという多彩かつ絶品のカヴァー群も、深い現代的な意味を持つレパートリーであり、極めて意義深い解釈ばかりであることを強調しておきたい。フィーチャリング・ヴォーカルにもベッカ・スティーヴンス3曲/エスペランサ・スポルディング/クリス・ターナー/ネジャム・ロズィエと、今をときめく人気シンガーが顔を揃えている。

それでは、70年代周辺のニュー・ソウル~メロウ・グルーヴや、90年代以降のディアンジェロ/エリカ・バドゥに代表されるネオ・ソウル、トライブ・コールド・クエストやJ・ディラなどのヒップホップを昇華した新世代ジャズの名作・名演を堪能していただけるよう、収録した各曲を順に紹介していこう。

オープニングのネジャム・ロズィエ「Love To Be Here」は、ジャズとソウルが絶妙のさじ加減で融合した、Free Soulファンにとても優しい幕開けになったと思う。エリカ・バドゥやホセ・ジェイムスのオープニング・アクトも務めていた彼女は、カメルーン産オランダ発の歌姫。2015年春に届いたばかりの最新作『The One』は、エリカ・バドゥ×ミシェル・ンデゲオチェロ×ジョニ・ミッチェル×シャーデーと形容したくなるほど、ネクスト・ステップへと飛翔した名曲揃いの一枚だ。キュートかつ大人のスタイリッシュなポップ・センスもまぶされた、代表作となるに違いないオーガニックなジャジー・ソウル・アルバム。

続くトラヴィス・サリヴァンズ・ビョーケストラの「Hyperballad」で、早くもハイライト到来と言いたくなる、胸のすくような大らかな高揚感に満たされる。ジャズとしても、ビョークのカヴァーとしても、これ以上はない極めつけの傑作だ。めくるめくようにドライヴする鮮やかな展開、伸びやかな生き生きとした歌唱は、我が最愛のグレッチェン・パーラトに負けず劣らず近年大活躍のベッカ・スティーヴンス。

そのブルックリンの至宝と言われるベッカ・スティーヴンスが自らのバンドで吹き込んだ、フランク・オーシャン「Thinkin Bout You」の素晴らしいカヴァーが続く。これはジャズもアンビエントR&Bもチェンバー・ポップもヒップホップも隣接し溶け合った2010年代の音楽シーンの最良の象徴とも言えるナンバー。Free Soulファンにとっての現代ジャズ、という観点からも一番星だろう。21世紀の可憐なジョニ・ミッチェル、とも形容したくなる彼女の2014年作『Perfect Animal』からのセレクション。

英ロンドン出身の冴えたドラマー、リチャード・スペイヴンの名前は、僕には4ヒーロー/シネマティック・オーケストラ/フライング・ロータス/ホセ・ジェイムスなどのセッションで馴染み深いものだったが(『Free Soul~2010s Urban-Mellow』に入れたフィン・シルヴァーや『Free Soul~2010s Urban-Groove』のセラヴィンスでも重要な役割を果たしている)、初リーダー作は2014年の『Whole Other*』。美しくメロウにきらめくこの「The Look Out」もそこからのエントリー。彼特有の“ずれた”ドラミングの心地よいタイム感に、ピアノ~ギター~女声コーラスが溶け合って、宇宙空間をたゆたうように甘美な浮遊感を味わえる逸品だ。

気鋭の敏腕ドラマー、エリック・ハーランド率いるヴォイジャーの2014年作『Vipassana』は、初めて聴いたとき、この『2010s Urban-Jazz』をコンパイルしようと思いつくきっかけになったアルバム。テナー・サックスのウォルター・スミス3世(彼やジェラルド・クレイトン、ジャマイア・ウィリアムスやクリス・バワーズが参加したユニット、ネクスト・コレクティヴによるディアンジェロ「Africa」のカヴァーも、僕は今回の選曲候補に考えていた)作の「Singularis」は、ハイブリッドなグルーヴが最高にカッコ良く、いつまでもその快感に身を委ねていたくなる有機的なリズム&アンサンブル。ピアノはテイラー・アイグスティ、さらにジュリアン・レイジ/ニール・フェルダー/クリス・ターナーが名を連ねるのも嬉しい。

前曲のグルーヴを引き継ぎながら、より洗練をまとった艶やかな美しさを描くのが、エリック・レニーニ&ジ・アフロ・ジャズ・ビートの「Sing Twice!」。クラブ・プレイに映える、DJ人気の高い作品も多いエリック・レニーニだが、これは2013年に発表された最新アルバムのタイトル曲で、流麗で華やかなピアノ・タッチも印象深いとっておきのキラー・ナンバー。

さらにそのグルーヴの快感を受け継ぎながら、ピアニストとして名高いダニエル・クロフォードがマルチ・ミュージシャンぶりを存分に発揮し、ジャズのフィーリングで珠玉のアーバン・メロウ・グルーヴを構築したのが「Home (Africa)」。マーヴィン・ゲイ~ダニー・ハサウェイのようなニュー・ソウルをも思わせ、ディアンジェロ~マックスウェル的なネオ・ソウル感覚も宿した、クリーヴランド・P. ジョーンズによるヴォーカル・ワークも、アーバン・メロウかつソウルフルな雰囲気をたたえていて素晴らしい。2014年発表の『The Awakening』から、僕はやはり好きなプリンス「Under The Cherry Moon」のカヴァーとどちらを選ぶか悩んだが、最後はこのカッコ良さに抗えなかった。

続いては2014年の最新作『The Signal』で現在進行形ジャズの意匠を身にまとい、まさしく再生したようなフレッシュな輝きを見せた女性シンガー、エリザベス・シェパード。その中でも白眉がこの「Willow」で、アフロセントリックかつフューチャリスティックなグルーヴの醸しだすループ感が気持ちよい。愁いを帯びた彼女のヴォーカルの魅力は残しながら、このコンピレイションに並べた最新型ジャズの傑作群との近似性を強く感じさせる。エンディングのチャントはリオーネル・ルエケだろうか。

そして真打ち登場と言っていいだろうか、僕の2014年のベスト・アルバムだったテイラー・マクファーリンの『Early Riser』(昨年『Urban-Sweet FM 81.4』には、アーバン・メロウなネオ・ソウル調の「My Queen」を収めた)から、ロバート・グラスパーのエレクトリック・ピアノ、サンダーキャットのベース、マーカス・ギルモアのドラムスをフィーチャーした、未来的な疾走感あふれるキラー・チューン「Already There」。昨今の現代ジャズのカッコ良さを象徴する一曲、と言っても過言ではないだろう。ジャズとビート・ミュージックが理想的に極限まで融合した、そのクロスオーヴァーの最高峰だ。

さらにはジャズとヒップホップの融合を究めたナンバーが続く。ジャマイア・ウィリアムスが主宰し、コーリー・キング/クリス・ターナー/ジェイソン・モランといった精鋭が参加する、エリマージによるJ・ディラのカヴァー「Nothing Like This」だ。ロバート・グラスパーも、テイラー・マクファーリンも、多くのジャズ・ドラマーも熱愛とリスペクトの意を明言するJ・ディラへの心からの愛情表現が、ループ感のあるファットなビートに息づいている。ヒップホップを昇華したジャズメンの打ち立てた輝かしい記念碑だ。

そしてイントロのピアノから哀愁漂う、マーク・ド・クライヴ・ロウによる「Sketch For Miguel」へ。近年はビート・ミュージック~エレクトロニック・ミュージックとジャズの蜜月に尽力するマークらしい、ミゲル・アトウッド・ファーガソンへのオマージュ・トラックだ。スピリチュアル・ジャズの現代的解釈を推進するビルド・アン・アーク(カルロス・ニーニョ)との親交やJ・ディラ・トリビュートで知られ、ブルーノートとブレインフィーダーからのリリース予定があるミゲル自身も、ヴィオラで参加している。郷愁と未来的なセンスが共存する、魂の深い底に潜んでいる感覚を具現化し、アップデイトさせたような、言わば“Ancient Future”のサウンドトラック。サイケデリックかつメディテイティヴ、そしてエクスペリメンタルな音像は聴き応え十分だ。

続いてはアルト・サックスのジェニア・ストリガレフが、トランペットのアンブローズ・アキンムシーレやピアノのテイラー・アイグスティ、ドラムスのエリック・ハーランドらと吹き込んだ、リリースされて間もない最新アルバム『Robin Goodie』からのセレクト。ここからの流れは、60年代ブルーノートの新主流派ハービー・ハンコックやウェイン・ショーター、あるいはアンドリュー・ヒルなどの現代版的なイメージを意識して選曲している。静謐な音の表情にも、都会の夜の息づかいが感じられる逸品だと思う。

続いても夜の静寂に美しく浮かび上がるような、リリカルなピアノが奏でるミルトン・ナシメントの気品あふれるカヴァー「Pier // Cais」。オランダ出身で現在はニューヨークで活躍するピアニストでありサウンド・プロデューサーのギデオン・ヴァン・ゲルダーは、ホセ・ジェイムスとも活動し、キンドレッド・スピリッツから出た前作『Perpetual』の際にも注目を集めたが、2014年の最新盤『Lighthouse』(同作ではトニーニョ・オルタの「Moonstone」もカヴァー)ではより透徹した美意識を感じさせ、さらなる高みへと昇りつめたような印象を受けた。深いサウダージとスピリチュアリティーをたたえたジャズとミナス・ミュージックの甘美な融合で、硬軟自在のドラミングはジャマイア・ウィリアムス、女性ヴォーカルはベッカ・スティーヴンス。

そして個人的にはこのコンピレイションの静なるクライマックスと言いたくなる、ビリー・チャイルズによるローラ・ニーロ・トリビュート「Upstairs By A Chinese Lamp」に、ニューヨークの春を想う。イントロのピアノから時を止めるような美しさで、オリエンタルなメロディーを典雅に引き立てる、ハープなど弦楽器を中心とした清らかなオーケストレイションも特筆すべき。透き通る珠玉のような音の純度にうっとりしてしまう。ウェイン・ショーターによる絶品のソプラノ・サックス、息を殺して聴き入りたくなるエスペランサ・スポルディングのしなやかな歌声も大変に素晴らしい。

エンディングはフェンダー・ローズの気持ちよさにとろけそうなほど陶酔してしまう、マーク・キャリーの「7th Avenue North」を。70年代のロイ・エアーズやジェイムス・メイソン、あるいはロニー・リストン・スミスなどに通じるような、でも最新型のコズミック・メロウ・グルーヴで、リリースされたばかりのアルバム『Rhodes Ahead Vol. 2』より。浮遊感に満ちた柔らかなサウンドスケープに誘われ、ゆっくりと音の宇宙遊泳を楽しむような気分で、『Free Soul~2010s Urban-Jazz』は幕を閉じていく。


01. Love To Be Here / Ntjam Rosie
02. Hyperballad / Travis Sullivan's Björkestra feat. Becca Stevens
03. Thinkin Bout You / Becca Stevens Band
04. The Look Out / Richard Spaven
05. Singularis / Eric Harland Voyager
06. Sing Twice! / Eric Legnini & The Afro Jazz Beat
07. Home (Africa) / Daniel Crawford feat. Cleveland P. Jones
08. Willow / Elizabeth Shepherd
09. Already There / Taylor McFerrin feat. Robert Glasper & Thundercat
10. Nothing Like This / Erimaj feat. Chris Turner
11. Sketch For Miguel / Mark De Clive-Lowe
12. Lorton / Zhenya Strigalev
13. Pier // Cais / Gideon Van Gelder feat. Becca Stevens
14. Upstairs By A Chinese Lamp / Billy Childs feat. Esperanza Spalding & Wayne Shorter
15. 7th Avenue North / Marc Cary
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