Free Soul 20周年の祝賀ムードが盛り上がるきっかけとなった大ヒット・コンピ『Free Soul meets P-VINE』の兄弟編となる『Free Soul meets P-VINE Jazz』が4/2にリリースされます。グルーヴィー&メロウ、ジャジー&スウィンギー、サウダージ&メディテイティヴ……かつては幻だったきらめくような名作の連なり。ファラオ・サンダースを始めとするキラー・チューン、スピリチュアル・ジャズの名門ストラタ・イーストやトライブの珠玉、スティーヴィー・ワンダー2曲/イヴァン・リンス/シーウィンド/ダニー・ハサウェイ/マリーナ・ショウ/ボブ・ドロー/ミシェル・ルグランといったカヴァーも絶品ばかり。しなやかに躍動するグルーヴと、魂を揺さぶる美しいメロウネスに彩られた、まさにエヴァーグリーン・ベストと言える史上最高の至上のジャズ・セレクションです。アプレミディ・セレソンでお買い上げの方にはもれなく(通販含む)、橋本徹・選曲のスペシャルCD-R『Free Soul 21st Century Standard ~ The Other Edition』と『Cafe Apres-midi 15th Anniversary ~ The Beach Boys』をプレゼント致しますので、お見逃しなく!
『Free Soul meets P-VINE Jazz』ライナー(橋本徹)
2013年末に発表され、Free Soul 20周年の祝賀ムードを盛り上げる口火を切った『Free Soul meets P-VINE』の兄弟編となる、その名も『Free Soul meets P-VINE Jazz』が登場。今回もグルーヴィー&メロウ、ジャジー&スウィンギー、サウダージ&メディテイティヴ……かつては幻だった名作の数々のきらめくような連なり。Pヴァインがこれまでに日本盤CDをリリースしてきたジャズとその周辺音楽で構成したが、セレクションの過程で、埋もれた至宝に90年代から光を当て続けてきた“渋谷ジャズ”の歴史をたどるような気持ちになった。
しなやかに躍動するグルーヴと、魂を揺さぶる美しいメロウネス。勢いに満ちたオープニングの流れから、無条件で気分が上がり、自分の血となり肉となっている傑作ばかりが続く。1時間ほどで選曲してしまったが、DJプレイしてフロアが湧き上がった光景がフラッシュバックして、胸が熱くなる瞬間もしばしば。『Free Soul meets P-VINE』に入れた名曲群と同じように、そうした音楽との出会い、感激の体験が、Free Soulや僕のコンピレイションの原動力・推進力となったことは言うまでもない。その象徴はやはり、ファラオ・サンダースだろうか。本作の屋台骨であり、『Free Soul meets P-VINE』ならアリス・クラークのような存在。彼なしに Free Soulとジャズの関係を語ることはできない。
DJパーティーでのキラー・チューンとしては、男性ヴォーカルなら、4ビートで踊る楽しさを教えてくれたフレッド・ジョンソン/ヴィンス・アンドリュース/ボビー・コール、女性ヴォーカルなら、メロウ~サウダージなフィーリングに惹かれるメタ・ルース/ジュディー・ロバーツ。カヴァーもとても充実していて、スティーヴィー・ワンダー2 曲/イヴァン・リンス/シーウィンド/ゲイリー・マクファーランド~ダニー・ハサウェイ/ユージン・マクダニエルズ~ロバータ・フラック~マリーナ・ショウ/ボブ・ドローと絶品揃い。中でも音質に難のある私家録音の発掘音源ながら、涙があふれてしまうのは、ペニー・グッドウィンによるミシェル・ルグラン「Little Girl Lost (Pieces Of Dreams)」の名演。少しでも聴きやすくなるようにと、エンジニアが尽力してくれた。僕は
『Free Soul meets P-VINE』のライナーでも、「無人島に、いや天国に持っていきたい曲だ」と書いている。
もうひとつの涙の名曲が、デトロイトのブラック・インディペンデント・ジャズ・レーベル、トライブに残された秘宝、ダグ・ハモンドの「Moves」だ。これもまた、心の調律師のような音楽。胸の奥深いところまで染みて、安らかに魂を鎮めてくれる。コンピのエンディングを穏やかに、『Free Soul meets P-VINE』のカーリン・クローグによるスティーヴ・キューン「Meaning Of Love」のカヴァーのように、メディテイティヴに締めくくってくれる。
トライブと並び称されるスピリチュアル・ジャズの名門レーベル、ストラタ・イーストからはアンサンブル・アル・サラームとディセンダンツ・オブ・マイク・アンド・フィービを。そう、スピリチュアル・ジャズの再解釈・再評価も、90年代からの Free Soulの命題で、ビルド・アン・アーク(カルロス・ニーニョ)に端を発するLAシーンの隆盛に先駆けて、情熱を注ぎ込んだ(もうひとつの代表的なレーベル、ブラック・ジャズの編集盤も2 枚、ちょうど10 年前に制作している)。ハキ・R.マドゥブティ&ネイションやファラオ・サンダースもしかりだが、ここに選んだ作品がどれも、故Nujabesが強く愛した音楽であることも、特筆しておきたい。
奇しくもNujabesの5周忌の時季と重なった『Free Soul meets P-VINE Jazz』のマスタリングを終えた後、僕はこのコンピレイションを通して聴きながら、楽曲の今なおフレッシュな輝きもあって、最初は少し若返ったような気持ちになっていたが、最後は何とも言葉にしがたい感慨におそわれ、熱いものがこみ上げてしまった。僕は今後もこのコンピを聴き終えるたび、その美しく尊い音楽に、若き日にFree Soulのクラブ・パーティーに通いつめてくれたNujabesの姿を思い浮かべるだろう。
01. On A Clear Day / Fred Johnson
02. The One Who Needs You / Vince Andrews
03. You've Got To Have Freedom / Pharoah Sanders
04. I've Got Just About Everything / 52nd Street
05. Dancing And Singing / Billy Wooten
06. The Real Thing / Meta Roos & Nippe Sylwens Band
07. He Loves You / Janice Borla
08. Common Ground / Judy Roberts
09. Optimystical / The Ensemble Al-Salaam
10. Little Girl Lost (Pieces Of Dreams) / Penny Goodwin
11. My Song Of Something / Nanette Natal
12. Sack Full Of Dreams / Paul Humphrey
13. I Can't Help It / Judy Roberts
14. Feel Like Making Love / Meta Roos & Nippe Sylwens Band
15. You Can't Build A Life On A Look / Bobby Cole
16. Children / Haki R. Madhubuti & Nation: Afrikan Liberation Arts Ensemble
17. Attica / The Descendants Of Mike And Phoebe
18. Moves / Doug Hammond