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Simon Dalmais『Before And After』

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Apres-midi Records - Artists

「ビーチ・ボーイズ『Friends』とベン・ワット『North Marine Drive』を結ぶような“青”のアルバム」と絶賛された名作の誉れ高いファースト『The Songs Remain』以来となる、フランスの名SSWシモン・ダルメのセカンド『Before And After』が10/21に先行入荷します。ドビュッシーやガーシュウィン、ニール・ヤングやロバート・ワイアットを愛する彼ならではの、どこか翳りを帯びた和音と内省的で切ないメロディーを、ピアノやストリングスでシンプルかつ流麗に、時にフォーキーなアレンジで聴かせる、ソングライターとしてだけでなくシンガー/パフォーマーとしても一段とその魅力に磨きがかかった、ポップ・ミュージックの普遍的な魔法に深く心動かされる傑作です。アプレミディ・セレソンでお買い上げの方にはもれなく(通販含む)、橋本徹・選曲のスペシャルCD-R『秋の気配とワインの匂い〜シモン・ダルメに捧ぐ』をプレゼント致しますので、お見逃しなく!


Simon Dalmais『Before And After』ライナー(村尾泰郎)

〈青のアルバム〉と評された前作になぞらえるなら、〈オレンジのアルバム〉と呼んでみたくなる。そんな、フランス出身のシンガー・ソングライター、シモン・ダルメのセカンド・アルバム『ビフォア・アンド・アフター』。アルバムの色合いはオレンジより赤みがかっているけれど、オレンジの印象が強いのはジャケットの色合いのせいだけじゃない。初めてこの新作の音源をiPodに入れて散歩に出かけたとき、いちばん印象に残った風景が夕焼けだったから、という個人的な理由もある。山の稜線に滲むオレンジ。そこをナイフで切り裂くみたいに飛行機がすっと横切っていった。オレンジ色のジャケットのレコードといえば、まず思い出すのはブライアン・ウィルソンとヴァン・ダイク・パークスの共演盤『オレンジ・クレイト・アート』だ。二人のマエストロがアメリカ西海岸に捧げたノスタルジックなラヴレター。そういえば、ブライアンの『ラッキー・オールド・サン』ではジャケットにオレンジが並べられていたっけ。でも、ビーチ・ボーイズが好きなシモンはブライアン以上にデニス・ウィルソンに影響を受けているらしい。一方、ヴァン・ダイク・パークスは『ソング・サイクル』『ディスカヴァー・アメリカ』『ヤンキー・リーパー』と初期3作はオレンジ盤だけど、シモンがヴァン・ダイクについてどんな感想を持っているかはわからない。ただ、前作『ザ・ソングス・リメイン』には曲と曲の間に室内楽風のインストが挟み込まれていて、それがヴァン・ダイクを思わせないこともない。アルバムで5曲のアレンジを手掛けていたオリヴィエ・マンションはクレア&ザ・リーズンズのメンバー(ヴォーカルのクレア・マルダーの旦那さま)であり、クレア&ザ・リーズンズのデビュー作『ザ・ムーヴィー』にはヴァン・ダイクが参加しているので、まんざら無関係とはいえないかもしれない。

もちろん、シモンをむりやりアメリカーナ・ミュージックの巨匠たちと結びつけたいわけではなく、シモンの歌を聴いていると自分の大好きなアーティストが次々と浮かんできて嬉しくなってしまう、という話。前作のライナーノーツで〈青のアルバム〉という秀逸なキーワードでアルバムの魅力を紐解いた渡辺亨さんは、ジョニ・ミッチェルやトッド・ラングレン、ニック・ドレイク、クリス・レインボウなど70年代のシンガー・ソングライターを引き合いに出されていたが(どれも納得)、僕がシモンを聴いて真っ先に連想したのは、イギリスのエル・レーベルから1986年にデビューしたシンガー・ソングライター、ルイ・フィリップだ。ルイ・フィリップもシモンと同じくフランス出身。フィリップはビーチ・ボーイズ『ペット・サウンズ』に触発されて音楽を始めたが、とりわけ彼の初期のアルバム(個人的には『パスポート・トゥ・ザ・ポギィ・マウンテンズ』がお薦め)で聴くことができるビーチ・ボーイズ・サウンドのエレガントな昇華、洗練されたストリングス・アレンジ、ジェントルなヴォーカル、そして、ヨーロッパ的ロマンティシズムに、シモンと通じるものを感じずにはいられない。そう思うと『ザ・ソングス・リメイン』のジャケットがルイ・フィリップの『アズール』(これもオレンジ盤!)とダブって見えてきて、僕の中でシモンはルイ・フィリップの甥っ子みたいに思えてしまうのだ。

ここで簡単にシモンのバックグラウンドを紹介しておこう。シモン・ダルメは1981年生まれ。英語教師の母とミュージシャンの父の間に生まれたシモンはクラシック・ピアノの素養があり、地理学の博士号も持つというインテリジェントなシンガー・ソングライターだ。3つ歳上の姉、カミーユもミュージシャンで、エリート校のパリ政治学院在学中にアンリ・サルヴァドールに認められて2002年にデビュー。これまで国内外で数々の音楽賞を受賞してきたフランスを代表するミュージシャンだ。シモンはキーボード奏者として姉のツアーや、セバスチャン・テリエ、ソウル・ウィリアムズなどの作品に参加していたが、2011年にフランスのインディ・レーベル、ビー・ポップから『ザ・ソングス・リメイン』でデビューを飾った。本作『ビフォア・アンド・アフター』は2枚目のアルバムで、トゥールーズの田舎に一人こもって曲を作り上げたらしい。参加ミュージシャンは前回とがらりと入れ替わっていて、今回ストリングス・アレンジを手掛けているのは、カミーユの2011年作『Ilo Veyou』に参加していたクレマン・デュコル。彼はプレイヤーとしてもサポートしていて本作のキーパーソンといえるだろう。

それにしても本作は以前にも増して素晴らしい仕上がりだ。ソングライティングはもちろん、マリンバ、バンジョー、コントラバス、シンセなど楽器は多彩に、アレンジはこまやかになっている。なかでもドラムの存在感が増していて、とりわけ「I Don’t Know」「Soleil Libre」では力強いビートがよりエモーショナルにメロディーを引き立てているし、クラヴィネットが絡んでくる「Along With My Son」のソウルフルなグルーヴも新境地だ。また気になるのが、アルバムの真ん中に置かれた小品「Kamakura」だ。シモンは2013年に〈TOKYO JAZZ〉で来日して仙台と東京で公演しているが、その際にプライヴェイトで鎌倉を訪れていて、この曲はそのときの印象を綴ったものに違いない(サンプリングされている音源は東京都内で録ったようだけど)。また、本作で異彩を放っているのがアルバム・タイトル曲で、ストリングスとコーラスを緻密にアレンジしながら、やがてジャジーに展開していくユニークなサウンドは、シモンが敬愛するロバート・ワイアットを思わせたりもする。そして、優美なストリングスとスキャットをピアノの音色で縫い合わせて、どこかノスタルジックなサウンドスケープを展開するナンバー「After」でアルバムは幕を閉じる……とここまで書いて、オレンジはノスタルジーの色でもあると気づいた。オレンジを深めれば、時を封じ込める色、琥珀になる。『ビフォア・アンド・アフター』は不思議に懐かしく、甘く切ない記憶のように聴き手を魅了する歌を、琥珀色の輝きに閉じ込めたタイムレスなアルバムなのだ。
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