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V.A.『Free Soul Decade Standard』

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Toru Hashimoto Compilation > Free Soul

Free Soul 20周年と「BARNEYS NEW YORK」銀座店10周年を記念して企画されたダブルネーム・コンピ『Free Soul Decade Standard』が10/3にリリースされます。「BARNEYS」が提唱する“Decade Standard”を選曲コンセプトに、2004年から10年間に誕生したニュー・クラシック、末永く輝き続けるに違いないグルーヴィー&メロウな珠玉のエヴァーグリーンが集められた、ジャズとソウルとクラブ・ミュージックの蜜月の集大成と言える決定版コンピレイションです。ポスト・ディアンジェロ〜エリカ・バドゥのネオ・ソウルの潮流と、ロバート・グラスパーに代表される新世代ジャズのセンスが溶け合い、J・ディラへの共感からビート・ミュージックが研ぎ澄まされ、アコースティック&オーガニックなフォーキー感覚やシャーデー〜ミニー・リパートンらへの敬愛が花開いた“黄金のディケイド”。ファラオ・サンダースやウェルドン・アーヴァイン、レディオヘッドからシンプリー・レッドまでの絶品カヴァーに、初CD化となる2曲の素晴らしいリミックス音源も収録。アプレミディ・セレソンでお買い上げの方にはもれなく(通販含む)、橋本徹・選曲のスペシャルCD-R『Free Soul ~ 2010s Urban-Jazz』(同時入荷の『Free Soul. the treasure of West End』と併せて2枚ともご購入の方には、それに加えて『Free Soul Erykah Badu ~ Private Edition Part Two』)をプレゼント致しますので、お見逃しなく!


『Free Soul Decade Standard』ライナー(橋本徹)

「BARNEYS NEW YORK」銀座店の10周年に伴って、それを記念して20周年を迎えたFree Soulとのダブルネーム・コンピを、という企画をタワーレコード経由でいただき生まれたのが、この『Free Soul Decade Standard』。「BARNEYS」のアニヴァーサリー・テーマである“Decade Standard”をそのまま選曲コンセプトとして、2004年から10年間に誕生したニュー・クラシック、これからも長く聴き継がれていくだろうグルーヴィー&メロウな珠玉のエヴァーグリーンを集めてみた。

この10年を振り返ると、LAシーンで育まれた自由な空気・雰囲気が、ひとつの強い磁場になったように感じられる。中でもカルロス・ニーニョを中心とする新世代ジャズ・コレクティヴ、ビルド・アン・アークの登場はエポックメイキングだった。ファラオ・サンダースを始めとするスピリチュアルなジャズの再評価・現代的解釈が、メロウなソウル・ミュージックやシャープなビート・ミュージックと混ざり合う中で、多くの傑作が生み落とされていった。

デトロイトからLAに移り住んだJ・ディラの存在、そして彼の死は、最も大きなトピックだった。トライブ・コールド・クエストのQ・ティップに見出され、ソウルクエリアンズでの活動を通して21世紀の音楽(とりわけビート・メイキング)の指針となり、絶大な支持と共感を得ていたJ・ディラをめぐる交流は、新たなスタンダードが確立される豊潤な背景となったはずだ。J・ディラとコモンとディアンジェロが顔を揃えたドリーミー・トラック「So Far To Go」は、言わば『Free Soul Decade Standard』の象徴。マッドリブを擁するストーンズ・スロウ(今回は3曲をライセンス使用させてもらった)、フライング・ロータスが主宰するブレインフィーダー、あるいはプラグ・リサーチといった重要レーベルの充実も、そうしたバックグラウンドがもたらした豊かな実りのひとつと言えるだろう。

ソウルクエリアンズによる金字塔、ディアンジェロの『Voodoo』や、多くの客演も素晴らしいエリカ・バドゥに導かれるように、いわゆるネオ・ソウルの流れも大きく花開いた。ポール・ランドルフ/ビラル/クリス・ターナー/ホセ・ジェイムスといった男性シンガーに、女性歌手ではクアドロンのココ・O やジャズのグレッチェン・パーラトという、ここに集まった顔ぶれは、ポスト・ディアンジェロ~エリカ・バドゥの潮流と共に注目度を高めてきた、この10年を代表するにふさわしい歌い手ばかりだ。

LA ビートの隆盛にも呼応するように、ヒップホップ世代のジャズを発展させていったNYシーンの昨今の活況ぶりにも触れないわけにはいかない。ジャズのフィールドで、J・ディラへの敬愛をその音楽でもストレートに表現してきたロバート・グラスパーは、Q・ティップ/コモン/ディアンジェロ/エリカ・バドゥは言うに及ばず、ビラル/ホセ・ジェイムス/ミシェル・ンデゲオチェロ/グレッチェン・パーラトから、新生ブルーノートの躍進を共に体現するノラ・ジョーンズまで、数多くのコラボレイションで大切なハブ的役割を果たしている。ロバート・グラスパー・エクスペリメントのケイシー・ベンジャミンが、ミニー・リパートンへのオマージュが素晴らしい「Wonderlove」のヘヴィーのメンバーであることも付け加えておこう。

ここ数年、ビートダウン・グルーヴの名作を次々に輩出し、僕自身もクラブDJの際に重宝することが多かったデトロイトに目を向ければ、ムーディーマンが名曲「Ulooklykicecreamndasummertyme」の兄弟編のようにホセ・ジェイムスと共作した「Detroit Loveletter」を見逃すことはできない。マーヴィン・ゲイの歴史的名盤『I Want You』のメロウ・マッドネスな世界観が30年以上の時を経てよみがえったような、決定的な一曲だ。似た意味で、Free Soulファンから喝采の声が上がった、デトロイト・テクノに強く影響を受けたクラブ・ジャズ~クロスオーヴァー系のアーティスト、カーク・ディジョージオがアズ・ワン名義でポール・ランドルフを迎えたウェルドン・アーヴァイン(歌と作詞・作曲はドン・ブラックマン)のカヴァー「I Love You」も、決して忘れることはできない。やはりポール・ランドルフが歌うジャザノヴァ「I Human」の、デトロイト・ハウスの生ける伝説マイク・ハッカビーによるメロウ極まりない“Jazz Republic Downtempo Mix”も、僕は何度となくDJプレイした。

ヨーロッパ勢で思い入れ深いのは、スウェーデンのホセ・ゴンザレス、オランダのベニー・シングス、デンマークのロビン・ハンニバル(ライ/クアドロン)、といった面々。ホセ・ゴンザレスの2005 年作『Veneer』は、ベン・ワット『North Marine Drives』の21世紀フォーキー版、と歓喜の形容をしてしまったほどの愛聴盤だが、これまではカヴァー曲であることを理由に、最も好きなこの「Heartbeats」(オリジナルはThe Knife)だけはコンピレイションへの使用許諾が下りなかった。だから今回は本当に嬉しさもひとしおの収録だ。ベニー・シングスの「Unconditional Love」は、ビルド・アン・アークのリリース元でもあるオランダの優良レーベルで、僕はいつも、まさに“意気投合”してしまうキンドレッド・スピリッツの2004年編集盤『Soul Purpose Is To Move You』で虜になった。彼とジョヴァンカをフィーチャーして、その後Nujabesと共にシャーデー「Kiss Of Life」のカヴァーを制作したのも、かけがえのない思い出だ。ライやクアドロンでの活躍で、2013年のMVPという感じだったロビン・ハンニバルも、大好きなサウンド・クリエイター。僕は『Free Soul~2010s Urban-Mellow』コンピ・シリーズでも、相次いで世話になっているが、何と言ってもやはり、その“シャーデー愛”に心酔してしまう。ヒップホップ~R&Bからジャズやビートダウン・ハウス/リエディットのシーンに至るまで、シャーデーへのリスペクトの気持ちが作品として著しく顕在化されたのも、この10年の大きな特徴だと思う。

また、シャーデーと並んで、ロック~ジャズ~アンビエント・ソウル~ IDM を通じてこのディケイドへの多大な影響を感じさせるのがレディオヘッド。その絶品カヴァー、ピート・カズマ&ビラルの「High & Dry」や、ロバート・グラスパーとテイラー・アイグスティがプロデュースを手がけている、グレッチェン・パーラトがしっとりとジャジーに歌うシンプリー・レッドの「Holding Back The Years」、数々のオールド・スクール・パーティー・チューンを掛け合わせたような、この上なくアーバン・ブギーなマイロン&E「Do It Do It Disco」のトム・ノーブルによるリミックス、ダビー&メロウの極めつけと言えるニュー・ザイオン・トリオ「Hear I Jah」(ジャザノヴァ〜ビルド・アン・アーク〜ホセ・ジェイムスから連なるエレピの気持ちよさに酔いしれてほしい)といった逸品を収めることができたのも、とても嬉しい。

以上、この10年の音楽シーンを簡単に解説させていただいたが、あくまでもこれは余談にすぎない。何よりも、聴いて心地よく、心に響く音楽が、ここにはある(それだけで充分だ)。このライナーに記した概況は、その音楽をより楽しんでいただくための補助テキストに、と思って書いてはいるが、選曲者としては、ここに収められた素晴らしい音楽を、ただひたすら聴いていただけたら、それだけで本望。『Free Soul Decade Standard』には、多くの音楽ファンに愛され、末永く輝き続けるに違いない名曲・名演、21世紀のまさしく“ニュー・スタンダード”が、たっぷりと詰まっている。


01. So Far To Go / J Dilla feat. Common & D'Angelo
02. Heartbeats / Jose Gonzalez
03. Let Go / Chris Turner feat. MoRuf
04. I Love You / As One feat. Paul Randolph
05. Wonderlove / Heavy
06. LFT / Quadron
07. Unconditional Love / Benny Sings
08. Do It Do It Disco〈Tom Noble Remix〉/ Myron & E
09. I Human〈The Mike Huckaby Jazz Republic Downtempo Mix〉/ Jazzanova feat. Paul Randolph
10. You've Gotta Have Freedom / Build An Ark
11. Detroit Loveletter / Jose James
12. Hear I Jah / New Zion Trio
13. Holding Back The Years / Gretchen Parlato
14. High & Dry / Pete Kuzma feat. Bilal
15. You Make Me Smile / Aloe Blacc
16. Make Her Mine / Mayer Hawthorne
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