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V.A.『Free Soul ~ 2010s Urban-Sweet』
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お待たせしました、Free Soulのニュー・パースペクティヴ、シルキー・メロウでとろけるように心地よい現代のアーバン・スウィート・ミュージックを満載した『Free Soul ~ 2010s Urban-Sweet』が9/27にリリースされます。マーヴィン・ゲイ/スティーヴィー・ワンダー/マイケル・ジャクソン/シャーデー/ビヨンセの絶品カヴァーから、ポスト・ディアンジェロ〜ロバート・グラスパー世代によるネオ・ソウルを通過した知る人ぞ知る名作群、夜のしじまに溶けてゆくロマンティックなナイトクルージング〜ベッドルーム・ソウルにジャジー&ハートウォームなスタンダード解釈まで、センシュアル&センシティヴな芳香ゆらめく2010年代の珠玉が81分17秒にわたって連なる甘美で都会的な一枚です。アプレミディ・セレソンでお買い上げの方にはもれなく(通販含む)、橋本徹・選曲のスペシャルCD-R『Free Soul ~ 2014 Urban-Jazz』と『Free Soul Erykah Badu ~ Private Edition Part One』をプレゼント致しますので、お見逃しなく!
『Free Soul~2010s Urban-Sweet』ライナー(橋本徹)
数あるFree Soulコンピの中でも、「2010s Urban」シリーズは、僕の現在進行形の音楽的興味を最も素直に反映したものだ。新譜を聴くたびに、これは「2010s Urban」に入れたいな、と思う曲に出会えることは、僕の音楽生活の大きな歓びのひとつだ。この『Free Soul~2010s Urban-Sweet』にも、そんな出会いの感激に震えた名作がたくさん詰まっている。
その音楽性やテイストを示すなら、ポスト・ディアンジェロ(さかのぼってプリンスへの敬愛もそこには滲んでいる)~ロバート・グラスパー(ジャズとヒップホップ/R&Bの蜜月)世代の、ネオ・ソウルを通過したインディーの名品も含むシルキー・メロウなニュー・スタンダード、ということになるだろう。優美で柔らかな、都会的でクールな色香をたたえたスムースネス。一方で陰影に富んでセンシュアルな歌声と、揺らめくように浮遊感・陶酔感を誘うエレガントなサウンド。Free Soulをアップデイト/コンテンポライズしてくれる音楽を現代のシーンに求めるならここに行きつく、まさにそんな感じだ。
そして確実に新しい感性が誕生しているという意味で、僕は80年代前半の英国でネオ・アコースティック勢が台頭してきた頃、プレスが彼らを評した“ニュー・センシティヴィティー”という言葉を思い浮かべる。いわゆるアンビエントR&Bとも共振する、メロウ・ドリーミンな芳香漂う、しなやかな歌声とセンティメント。それはジェシ・ボイキンス3世たちが唱える“ロマンティック・ムーヴメント”と、ほぼ同義なのかもしれない。
詳しい収録曲の解説はwaltzanovaによるライナーに譲るが、マーヴィン・ゲイ~スティーヴィー・ワンダーと素晴らしいグラデイションを描くオープニングから、前半は特に気に入っている流れだ。ジャズとソウルの理想的な融合と言えるクリス・ターナーが歌うクリス・バワーズの「Wonderlove」(もちろんスティーヴィーへのオマージュだが、ミニー・リパートンに捧げられたヘヴィーの同名の名曲へのアンサーのようなタイトルだ)は、2014年を象徴する一曲と確信していたので、その使用許諾が届くまでコンピレイションのリリースを延期してもらっていた。2014年屈指のブライテスト・ホープだと思うフォーキー・ジャジー・メロウ・ソウルマン、ジェイムス・ティルマンの「Shangri La」は、ダウンロードEPであるにもかかわらず、僕のDJプレイではすでにオーディエンスがサビを大合唱、それほど吸引力のある曲ということだろう。本来はクリス・バワーズとジェイムス・ティルマンの間に、やはり2014年を代表する傑作だと思うテイラー・マクファーリンの「My Queen」を、と考えていたが、今回はレコード会社間の契約条件が合わなかったようなので、また近いうちに改めて(兄弟編『Urban-Sweet FM 81.4』に収録できることになった)。
クリス・バワーズのアプルーヴァルを待っているうちに、半ば諦めかけていたテラス・マーティンとクインシー・ジョーンズの夢の共演(名盤『3ChordFold』の隠しトラック)を収録できることになったのもラッキーだった。35年前にスティーヴィー・ワンダーが書いてマイケル・ジャクソンが歌った「I Can’t Help It」を取り上げること(しかもヴォコーダーで)は、ジャズ~ソウル~ヒップホップ/R&B~ニュー・ディスコ/ビートダウン・ハウスを問わず、昨今の音楽シーンで極めて現代的な意味を持っているが、これは真打ち登場と言っていいだろう。
「I Can’t Help It」と並んで、シャーデー「Kiss Of Life」のスムースなメロウネスも、ニュー・クラシックと呼ぶにふさわしい存在感を示している。そんな誰もが愛するラヴ・ソングを、男性歌手のクリス・ターナーが心に染みるどこか“フェミニンな”感性で歌う、これこそフランク・オーシャンにも匹敵するニュー・センシティヴィティーの記念碑だ。ファレル・ウィリアムスとの好コラボレイションDaleyも、リロイ・ハトソンの影がよぎるドゥウェレもカーティス・メイフィールドを思わせるビラルも、ジェシ・ボイキンス3世はもちろんベニー・シングスさえも、ここに顔を揃えたディアンジェロ~マックスウェル以降のシンガーは皆、繊細なメランコリーと両性具有的なフィーリングを宿している。ドレイクも絶賛するスラッカー・ザ・ビートチャイルドの「Us Theory」や、ドンテイ・ウィンスロウの「Summer Cookout」(クエストラヴやロイ・ハーグローヴも当然シーンのキー・パーソンだ)も、ディアンジェロとソウルクエリアンズによる金字塔『Voodoo』直系のプロダクションという意味合いで、その近親関係にあるのは言うまでもない。
そんな21世紀ならではのナイトクルージング~ベッドルーム・ソウルの連なりから、コンピレイションの後半では、ジャジー&ハートウォームなスタンダード解釈が夜のしじまに溶けてゆく。実はマスタリング後に、このライナーを書くまでの間、アドヴァンスCDを聴いていて、選曲のストリームの中でいちばん効いているな、と思ったのは、エリザベス・シェパード「Love For Sale」(コール・ポーター)~グレゴア・マレ&カサンドラ・ウィルソン「The Man I Love」(ジョージ・ガーシュウィン)のビターなリリシズムだった。こうした脇役というかサイド・ディッシュが、選者の意をこえて魅力的な光を放つことがあるから、コンパイルは本当に奥が深い。この『Free Soul~2010s Urban-Sweet』は半分をジャズ・ヴォーカル中心のビクター音源、もう半分を他社からのライセンス音源で構成したが、こういう偶然の輝きがあると、またすぐに「2010s Urban」を作りたくなってくる。それまではこのCDのスウィートでとろけるような心地よさに身を委ねて、“シルクの似合う夜”をおすごしください。
『Free Soul~2010s Urban-Sweet』ライナー(waltzanova)
甘美にして豊潤、シルキーでメロウ。本作『Free Soul~2010s Urban-Sweet』を聴いているとそんな言葉が頭をよぎります。
「Free Soul~2010s Urban」は、昨年末から橋本徹が手がけている新コンピレイション・シリーズ。ファレル・ウィリアムスやジェイムス・ブレイク、ロバート・グラスパー・エクスペリメントらが、ヒット作や話題作を生み出す2010年代の音楽シーンにおけるフリー・ソウル的な遺伝子を持った楽曲=「コンテンポライズされたフリー・ソウル」が集められているコレクションです。
本作『Free Soul~2010s Urban-Sweet』を紹介する上で、イメージの核となるアーティストを3人挙げるとすれば、マーヴィン・ゲイ、スティーヴィー・ワンダー、シャーデーとなるでしょう。共通している個性は、しなやかなスムースネスと甘やかなメロウネス、そしてセンシュアリティー。まずはその3人のカヴァーについて触れましょう。オープニング・トラック「What’s Going On」は、ブライアン・オウエンスによるマーヴィン・ゲイのカヴァー・アルバム『You’re All I Need』からのもの。70年代の作品を中心に取り上げ、原曲を生かしたオーソドックスなアレンジで、彼へのリスペクトを捧げています。スムースなヴォーカルと丁寧なフレージングには、確かにマーヴィンの影が。そこに滲む誠実さはブライアンならではです。
続いては、英国生まれオーストラリア育ちのシンガー、アニタ・ウォーデルのスティーヴィー・ワンダー「Superwoman」のジャズ・ヴォーカル・カヴァー。去っていった恋人を追憶する、組曲的な展開を持つこのナンバーを、彼女は見事に解釈しています。ピアノの音色が美しい歌い出しから、軽くボッサ・タッチへと変化していきますが、一貫して気品の香る仕上がりに。じんわりとした温もりを感じさせる歌声も素敵です。
そして、クリス・バワーズの「Wonderlove」での客演も素晴らしい、クリス・ターナーの「Kiss Of Life」。オリジナルはもちろんシャーデーによるラヴ・ソングのニュー・スタンダードですが、ここで彼はフェミニンとも言えるアプローチで、センシティヴかつセンシュアルに歌い上げています。ギターを中心としたシンプルなアレンジが、クリスの歌心を一層引き立てています。
“フェミニン”という単語を今使いましたが、そのような形容を与えたくなる、繊細さや優しさ、艶やかさや陶酔感を感じさせる曲が多くラインナップされているのが、『2010s Urban-Sweet』の特色です。サブタイトルの「Sweet」に象徴されているように、フレグランスやカクテル、スウィーツなどの、全体的に“香り”も感じさせるようなセレクションですね。
『2010s Urban-Sweet』には、インディー・ソウル~R&Bの精粋とも言うべきアーティストの諸作が多く収められていることも、重要なポイントです。そこでは、2000年代以降のニュー・センシティヴィティーと呼ぶにふさわしい感性が表現されています。
まずは、ホセ・ジェイムスなどのピアニストとして知られる俊英クリス・バワーズのメディテイティヴなワルツ・ナンバー「Wonderlove」。メロウ・ドリーミンなサウンドとクリス・ターナーのヴォーカルに、スティーヴィー・ワンダー~ミニー・リパートンを思い出すのは必然。『Heroes+Misfits』は、2014年ベスト・アルバム候補の呼び声も高い、ロバート・グラスパー以降のジャズを感じさせる傑作でした。
続くジェイムス・ティルマンのデビューEPのタイトル・トラック「Shangri La」は、サビのメロディー・ラインが耳に残るアーバン・ソウル。彼はワシントンDC出身、現在はニューヨークで活動するニューカマーで、ネオ・ソウルを通過したしなやかな歌声が持ち味です。マーヴィン・ゲイ~ダニー・ハサウェイ~テリー・キャリアー、ときにニック・ドレイクを思わせるようなヴィンテージでオーソドックスな歌心が、彼の個性と言えるでしょう。
『Free Soul~2010s Urban-Groove』に続いての収録となるテラス・マーティンは、もともとはジャズ畑出身ながら、現在ではケンドリック・ラマーやスヌープ・ドッグなど、幅広い仕事で知られるLAのプロデューサーです。「I Can’t Help It」は、言わずと知れたマイケル・ジャクソンのスムース・メロウ・クラシック。ゲストで迎えられているクインシー・ジョーンズが、初めてMJとタッグを組んだ『Off The Wall』収録の、スティーヴィー・ワンダーのペンによる名曲です。近年ではグレッチェン・パーラトやエスペランサ・スポルディングらがこぞって取り上げ、今のアメリカのリベラル・ブラック・ミュージックを象徴するような存在感を放っています。
現在、飛ぶ鳥を落とす勢いのファレル・ウィリアムスがプロデュースしたDaley「Look Up」や、ディアンジェロの盟友ビラル「Never Be The Same」は、プリンス的なセンスを感じさせます。Daleyは、『Days+Nights』ではジョーン・アーマトレイディングの曲を取り上げるなど、独特なセンスが光る英国の要注目アーティスト。その感覚は、プリンスやカーティス・メイフィールドにもつながるファルセット・ヴォーカルで歌われていることとも関係しているでしょう。
優しげな表情を見せるナイス・ミディアム「Kissing Game」の主役、ドゥウェレは、J・ディラのバックアップを受けてデビューした、現在ではインディペンデントを中心に安定した活動を続けるシンガー。本作に名を連ねる「2010s Urban」のR&Bアーティストたちの先達的な功績を果たしている重要人物です。
ウーター・ヘメルやジョヴァンカのプロデュースでも知られる、オランダのポップ・マスター、ベニー・シングスによる「All We Do For Love」は、ベッドルーム・ミュージック的なサウンド・メイキングが光る一曲。ひねりを加えたポップの匠は、まさに彼にしか成しえません。前述したクリス・ターナーとロマンティック・ムーヴメントというコミュニティー/プロジェクトを立ち上げているジェシ・ボイキンス3世の「Amorous」は、これまたタイトル通りの官能的な世界が広がります。
また、夏の終わりの黄昏どきのような切なさやセンティメントも息づいていますね。暮れていく夕陽の中に浮かび上がるシルエットのような逆光感、と言うと伝わりやすいでしょうか。ジョヴァンカとベニー・シングスをフィーチャーしたNujabesによる「Kiss Of Life」カヴァーも、そんなフィーリングを持っていたことを思い出します。ネオ・ソウル周辺のアーティストとの交流も深いトランペッター/プロデューサー、ドンテイ・ウィンスロウのグループによる「Summer Cookout」や、メロウ&ダビーなラヴァーズ・ロック風のアンソニー・ヴァラデス「Searching For (Adi Dick Remix)」(トランペットの響きがクールです)からは、レイト・サマー定番曲であるボビー・ハッチャーソン「Montara」と相通じるような温度と景色が立ち上がります。特にディアンジェロ2000年のマスターピース『Voodoo』流儀のスタイルで演奏される「Summer Cookout」(クエストラヴ、ロイ・ハーグローヴも参加しています)は、同作のファンなら反応せずにはいられない“あの感じ”(色気、と言いかえてもいいですね)を持っていて必聴です。スラッカデリクス名義でも作品をリリースしているカナダの鬼才プロデューサーが、スラッカー・ザ・ビートチャイルドとしてリリースした「Us Theory」も、ビートやヴォーカルにディアンジェロの影響が感じられるアーバン・ナンバーです。
アルバムの終盤は女性ヴォーカルによる、コール・ポーターやガーシュウィン、バカラックなどのスタンダード・ナンバーを中心とした選曲。キュートな中に現代的な鋭さも感じさせるエリザベス・シェパードの「Love For Sale」や、カサンドラ・ウィルソンのスモーキーでビターな歌声が楽しめるグレゴア・マレの「The Man I Love」などが印象に残ります。90年代のUKソウル~アシッド・ジャズ的な質感も感じさせるローラ・ホールディングのビヨンセ・カヴァー「Sweet Dreams」に続いて、コンピレイションはシリル・エイメーによるチャップリン、未来への希望を感じさせる「Smile」で余韻を残しつつ幕を閉じます。
『2010s Urban-Sweet』の収録曲は、どれも五感に訴えかけるイメージ豊かなものばかり。ここに広がるスウィートでとろけるような心地よさを、夜の高速をクルージングしながら、都会の雑踏を歩きながら、ビーチで染まりゆく海を眺めながら、ホテルの一室でシャワーを浴びながら、さまざまなシチュエイションで感覚の翼を広げてたっぷりと味わってください。
01. What’s Going On / Brian Owens
02. Superwoman / Anita Wardell
03. Wonderlove / Kris Bowers feat. Chris Turner
04. Shangri La / James Tillman
05. I Can’t Help It / Terrace Martin feat. Quincy Jones
06. Look Up / Daley
07. Kiss Of Life / Chris Turner
08. Kissing Game / Dwele
09. All We Do For Love / Benny Sings
10. Us Theory / Slakah The Beatchild
11. Amorous / Jesse Boykins III
12. Never Be The Same / Bilal
13. Summer Cookout / Dontae Winslow & Winslow Dynasty feat. Ahmir "Questlove" Thompson, Roy Hargrove & JK
14. Searching For (Adi Dick Remix) / Anthony Valadez feat. Miles Bonny
15. Love For Sale / Elizabeth Shepherd
16. The Man I Love / Gregoire Maret feat. Cassandra Wilson
17. Raindrops Keep Falling On My Head / Emilie-Claire Barlow
18. Sweet Dreams / Laura Holding
19. Smile / Cyrille Aimee