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『Free Soul. the classic of The Stylistics』

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Toru Hashimoto Compilation > Free Soul

Free Soul 20周年記念コンピのリリースが続く中、1970年代に一世を風靡したフィラデルフィア・スウィート・ソウルの伝説的グループ、スタイリスティックスのベスト・コレクション『Free Soul. the classic of The Stylistics』が7/23にリリースされます。代表的なヒット曲を網羅しながら、トム・ベル〜バート・バカラックによるソフト・サウンディング・ソウル、ディアンジェロ以降の感覚にフィットするクワイエット・ストーム、マッド・プロフェッサーらによってラヴァーズ・ロックに仕立てられたり、カヴァー/サンプリングによってヒップホップ〜R&Bのルーツとして脚光を浴びた名作にフォーカスした、Free Soulならではのメロウ&グルーヴィーな感性による80分以上におよぶ決定版セレクションです(ボーナス・トラックとしてマイケル・ジャクソン「Human Nature」やダニー・ハサウェイ「This Christmas」のカヴァーも収録!)。アプレミディ・セレソンでお買い上げの方にはもれなく(通販含む)、橋本徹・選曲のスペシャルCD-R『真夏の夜の2014 Urban-Mellow』(同日のリリースの『Diggin’ Free Soul ~ Mixed by MURO』を同時購入の方にはそれに加えて『Free Soul Diggin’』)をプレゼント致しますので、お見逃しなく!


『Free Soul. the classic of The Stylistics』ライナー(橋本徹)

『Free Soul. the classic of The Stylistics』を作ることになるとは、正直なところFree Soul 20周年のアニヴァーサリー・イヤーとなる2014年を迎えるまでは想像していなかったが、スタイリスティックスは僕がハイティーンの頃、ソウル体験のごく初期に出会った思い出深いアーティストだ。

ソフト・ロックに夢中だった大学生になりたてのとき、僕は“黒いバカラック”という異名を知り、ソングライター/プロデューサーのトム・ベルが手がけた曲を片っ端から聴くようになった。幸いなことに、どのレコードも中古盤店で安く手に入れることができた。1970年代に日本でも絶大な人気を誇ったスタイリスティックスの名は、もちろんすでに知っていたが、デルフォニックスやフィラデルフィアに移ってからのスピナーズなどと共に、彼らのファーストとセカンドは、そんな流れの中で繰り返し聴いた名作だった。
その2年後の夏だっただろうか、僕はサンドラ・クロスのラヴァーズ・ロック名盤『Country Living』を好きになったことをきっかけに、スタイリスティックスの偉大さを改めて思い知ることになる。その後マッシヴ・アタックなどとの共演でも広く名を知られるようになるUKラヴァーズ~ダブの天才プロデューサー、マッド・プロフェッサーが自ら主宰するアリワ・レーベルの作品群は、サンドラ・クロスを筆頭に、トム・ベルやバート・バカラックによるスタイリスティックスの名曲カヴァーが多いことに気づいたのだ。アリワの12インチやアルバムを買うたびに、そのレパートリーには歓喜の連続だったのを憶えている。他にもウィリアム・ディヴォーンや「雨に微笑みを」をカヴァーするなど、洗練されたソウル・ミュージック趣味の持ち主として、当時の僕が信頼を置いていたマッド・プロフェッサーが、スタイリスティックスを“お墨つき”の存在にしてくれたのだ。

とはいえ、あの頃の思い出によってのみ、この『Free Soul. the classic of The Stylistics』が選曲されているわけではない。もちろんマッド・プロフェッサーがクール&メロウなラヴァーズ・ロックに仕立てた曲や、バカラック作品やソフト・ロックの延長線上で聴けるソフト・サウンディング・ソウルの名作をたっぷり収録しているが、20年以上の時を経て、新たにスタイリスティックスのアーティスト像をアップデイトする試みの方こそを、むしろ重要視していると言っていい。マッドリブやJ・ディラを始めとする気鋭のビート・メイカーたちのサンプリング・ソース、そしてカヴァーによりよみがえる現代のヒップホップ~R&Bのルーツ、という観点だ。
その象徴として、現在ビクターが発売権を有する音源ではないものの、ライセンスによって1曲目に収めることにこだわったのが、「Hurry Up This Way Again」だ。1980年作の同名アルバムのタイトル・チューンだが、まさにディアンジェロ以降という感じの濃密なメロウネスと密室的な感覚にフィットする、21世紀のベッドルーム・ソウル/ナイトクルージング・ソウルとして相応しい絶品クワイエット・ストーム。1996年から97年にかけて、Jay-Z~トニ・トニ・トニ~グルーヴ・セオリーが立て続けにサンプルしていたのを思いだす。
続く「People Make The World Go Round」は、個人的に最も大切な曲だ。我が最愛のジャズ・シンガー、ディー・ディー・ブリッジウォーターによる名演は言うに及ばず、90年代後半には、カール・クレイグのインナーゾーン・オーケストラでポール・ランドルフの内省的な歌声によってカヴァーされ、同じトーキング・ラウドのロニ・サイズもサンプリングしていたのが忘れられない。昨年はサンダーキャットがイントロのSEを使っていたのも記憶に新しい。マーヴィン・ゲイらのニュー・ソウルとも通じ合う、言わば“インナー・シティー・ブルース”。1990年前後にレア・グルーヴ~アシッド・ジャズの影響でリロイ・ハトソンの虜になったとき、そのループするベース・ラインとグルーヴに、これはスタイリスティックスのあの曲と同じだ、と直感したのも、僕にとってはとても重要な“気づき”の経験だった。

全曲を順に解説していったら、どれだけ文字数が許されてもきりがないので控えるが、続いて収録しようと思っていた1978年の『In Fashion』からの「Smooth」を始め3曲が、当初はライセンス可能と思っていたが、リリース日に間に合うスケジュールでは使用許諾がかなわず、代わりに近年作の白眉とも言える3曲を、ボーナス・トラックとして最後に連ねたことを特筆しておこう。マイケル・ジャクソンやダニー・ハサウェイの人気曲カヴァーも入っているので、むしろこちらを聴けてよかった、という音楽ファンも多いかもしれない。
メロウからグルーヴィーへとグラデイションを描く、どんなヴァージョンも好きで「遠い天国」という邦題にも恍惚となるバカラック・ナンバー「You'll Never Get To Heaven (If You Break My Heart)」、ヤン富田~いとうせいこう好きにも知られるマッド・プロフェッサーの「Fresh And Crean」と題したスティールパン・ヴァージョンも素晴らしすぎる「Country Living」、スカ~ロック・ステディー版やマッドネスによるカヴァーもご機嫌なカリプソ曲「Shame And Scandal In The Family」と続くカリブ・フレイヴァーが心地よい展開も、僕はかなりのお気に入りだ。
「Betcha By Golly, Wow」「Stop, Look, Listen (To Your Heart)」「Break Up To Make Up」そしてマーヴィン・ゲイ&ダイアナ・ロスのカヴァーはもちろんメアリー・J.ブライジ「Everything」でもお馴染みとなった「You Are Everything」と代表作の並びが壮観なパートは、まさしくフィラデルフィア・スウィート・ソウルの真髄。美しいヴォーカル・ハーモニーに陶然とする、いわゆる甘茶ソウルとしても一級品だ。この『Free Soul. the classic of The Stylistics』にはもちろん、「You Make Me Feel Brand New」(誓い)や「Can't Give You Anything (But My Love)」(愛がすべて)といった日本での大ヒット曲もしっかり入っているので、往年のリスナーの方も安心して、彼らのベスト盤としてお楽しみください。
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